まちゃん

ウエスト・サイド・ストーリーのまちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
ニューヨークのウエスト・サイドのスラム街、二つの不良少年グループがいた。ポーランド系のジェッツとプエルトリコ系のシャークス。互いに憎み、争いを繰り返す日々。そんなある日、ジェッツの元リーダー、トニーはシャークスのリーダー、ベルナルドの妹マリアと出会う。忽ち恋に落ちる二人。果たして二人の運命は…。映画史に残るミュージカルの名作を再映画化するという難題に挑戦した作品だが流石スティーブン・スピルバーグ、見事なリメイクに仕上がっていた。レナード・バーンスタイン作曲の美しい歌、華麗なダンスの一つ一つがキレのある演出により映える名場面になっていた。舞台の香りが残っていたオリジナルに比べて今作は極めてリアリティのあるセットになっている。それにより、この作品の持つ社会的な側面を強く浮かび上がらせる事に成功している。対立する不良少年グループの裏には移民社会アメリカの問題点が横たわっている。人種間の摩擦という横の対立構造、格差社会という縦の対立構造。その全ての矛盾が少年達に押し付けられて彼らを追い詰める。恋人達の悲劇はアメリカの悲劇であり、世界の悲劇なのだ。現代社会に向けた作品だと感じた。
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