ある日突然、見た人を自殺させてしまうという謎の存在が現れ、人々をパニックに陥れる…というお話。
〇〇したら死ぬという設定はホラーに良くあるけど、見ることを禁じられるというのはなかなかハードルが高い。直接的に殺しにかかってくるわけではなく、見た人を強制的に自殺させるというのはシャマランの『ハプニング』を思い出した。最後まで何がなんだかよく分からなかったあちらに比べると、幾分か怪異の存在が具体的なので、より怖さはあったと思う。
サンドラ・ブロック演じる主人公が二人の子供を連れてどこかへ向かおうとする現在パートと、そんな彼女が怪異に巻き込まれてからを描く過去パートが交互に描写されていて、過去パートは割と真っ当なパニック映画、現在パートは母親としての彼女のパーソナルな部分に焦点を当てていくような形になる。
過去パートはお決まりのスーパーマーケットシーンがあったり、人間同士の争いに新たな敵の存在と、パニック映画としては及第点なんじゃないかなと思う。
ただ、パニック映画としてはそれなりというだけで、「見てはいけない」という設定がそれほど活きていないように感じた。
もうちょっとそこで何かしらのサスペンスを用意してくれたら良かったんだけど、目が見えなくても結構普通に行動できているので、「見たら死ぬ」というより「見なければ平気」くらいのもんに思えてくる。
設定は良かったので、もうちょっと見れないことによる恐怖を描いて欲しかったかなぁ。最後の方でなんだか真面目になってしまったのはちょっと中途半端だったかも。
(2019.9)