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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのゆめちんのレビュー・感想・評価

4.0
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
 
マーティン・スコセッシ監督が、歴代主演俳優のレオナルド・ディカプリオとロバート・デ・ニーロを迎え、アメリカの黒歴史を描いたと聞けば、"観ない" という選択肢はありません。
 
20世紀初頭のアメリカ・オクラホマ州。先住民族のオーセージ族は石油を掘り当てて莫大な富を得るが、白人たちが彼らを言葉巧みに操りながら財産を次々と取り上げていく。
 
206分という長尺だが、前半部分のテンポが非常によく一気に物語に引き込まれ、そのままエンディングを迎えたという感じ。石油を巡る先住民と白人の争いは、これまであまり観たことがないので興味深く鑑賞した。
 
アメリカの黒歴史をしっかりと映像で伝える中で、当時の街並みやオーセージ族の暮らしぶりなど忠実に再現され、入念に調べ上げて作られているのが映像から伝わってくる。
 
欲にまみれた人間たちを描き切った脚本と、俳優の力量にとにかく脱帽。ジェシー・プレモンス扮するFBI捜査官の登場で、一気に流れが変わり緊張感が高まるのが印象的。アーネストとモーリーが、嵐の夜に雨音に耳を澄ます場面は、唯一豊かな時間が流れる心温まるシーンだった。
 
モーリーへの愛と財産搾取への加担、罪悪感で心を掻き乱すアーネストが観ていて歯痒く、それらを自然に見せ切ったディカプリオに拍手。悪役のデニーロを観るのは久しぶりだが、凄みに満ちたパフォーマンスは抜群の存在感。
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