riesz77

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのriesz77のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

こんな長い映画は初めてかもしれない。
とにかく大長編で話題の本作。海外の
映画館では勝手に休憩を入れたことで
配給会社から注意を受けている。
映画が長すぎるため、駐車料金が超過で
かかってしまった。とにかく長いのに、
あっという間に過ぎた3時間半だった。

ディカプリオ演じるアーネストと、
リリーグラッドストーン演じるモリーの、
恋愛物語に焦点を当てつつも、先住民族と
白人による決して相入れない種別問題を
孕みながらオイルマネーのために画策する
人間の汚い部分が見られる。

アーネストがそこまでクレバーじゃなく、
むしろ観客側というか、愛着が湧きそうな
そんな主人公だった。おじに頭が上がらず
奥さんのモリーを愛する純粋さもあり、
探偵を裏で捌いたりと自分の罪を隠すため
悪事を働いて取り返しつかないところまで
言ったりと、人間らしい役柄だった。

ヘイル演じるのがロバートデニーロ。
歳を重ねているが、感じさせない存在感。
悪の元凶だか、憎めない悪役だった。
長い時間をかけて積み重ねてきた信頼が
あり悪事を働ける。この歳になって財産が
必要なのか?と思うが、欲望に塗れた
本作を俯瞰的役柄で輝いてたデニーロ。

モリー演じるリリーグラッドストンは
初見だったが、演技力が確かで、名優に
引けを取らない存在感だった。

作品自体はエンタメ性がなく、暗いまま
進行しているように思えた。表面的には
日常だけど、実際に内側がドス黒いので、
それを知ってる観客だから暗く感じる。
色々盛り込み過ぎて長くなるのは、観てて
わかる気がする。無駄なシーンはあまり
なかったが、おもしろいと思えるシーンも
そんなになく。安定した3時間半。起伏が
あまりなく、アーネストに感情移入して、
後戻りできない悪事行為と、中途半端な
覚悟とヘイルへの裏切りによって、すべて
失い終身刑になった惨めな主人公だが、
ハラハラしてしまう場面がいくつもあり、
飽きなかった理由がそこにあると思う。

ディカプリオの演技も安定していたが、
特に際立った場面もなく、それより他の
役者さんにスポットを当てに行くような、
主人公だけど際立ち過ぎない存在感。
かと言って他にディカプリオほど光ってる
役者はいなかったので、印象に残らない。

最後の実演犯罪の音芝居や語りが好き。
すごくわかりやすかった。
当時の命は今より軽いのか?と思うくらい
インディアンが簡単に殺されてしまい、
それに対して非情になれる白人と、非情に
なれない白人とで、決してインディアンと
融合できない距離感も良かった。

マーティンスコセッシ監督の他作品と
比べると自分の中であまりヒットしない。
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