Dick

キングスマン:ファースト・エージェントのDickのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

❶相性:上。
★シリーズ3作中ベストの仕上がり。最高に楽しい。

➋時代と舞台:
①プロローグ:1902年、南アフリカのボーア戦争から幕が開く。
②12年後の1914年、第一次世界大戦直前のイギリスをメインに、ロシア、ドイツ、サラエボ他のヨーロッパと西部戦線及びアメリカが舞台となる。

❸主な登場人物:

◆◆◆以下にマイナーなネタバレがあります。こだわりのある方は本項をスキップして下さい。

①オーランド・オックスフォード公爵(レイフ・ファインズ):主人公。12年前のボーア戦争での赤十字活動で、妻エミリー(アレクサンドラ・マリア・ララ)を亡くし、戦争で平和は実現しないと考えるイギリスの名門貴族(公・侯・伯・子・男の5爵位の最高位)。闇の狂団と戦うスパイ組織「キングスマン」の礎を築く。
②コンラッド・オックスフォード(ハリス・ディキンソン):オーランドの息子、19歳。少年時代(アレクサンダー・ショウ)に母を亡くし、父と執事たちに愛情を込めて育てられた。国を憂い、戦地に行くことが自分の使命と信じる正義感にあふれた青年。西部戦線で戦死する。
③ショーラ(ジャイモン・フンスー):オックスフォード家に仕える執事。かってアフリカの戦士だった。戦闘能力抜群。
④ポリー・ウィルキンス(ジェマ・アータートン):オックスフォード家の女執事。コンラッドの家庭教師。参謀役。射撃の腕はピカイチ。
⑤ホレイショ・ハーバート・キッチナー将軍(チャールズ・ダンス)★実在(185-1916):歴戦の英国軍人。元帥、陸軍大臣、伯爵。
⑥モートン大尉(マシュー・グッド):キッチナー将軍の副官。
⑦ジョージ5世(トム・ホランダー)★実在(1865-1936):イギリス国王。★トム・ホランダーが3役。
⑧ヴィルヘルム2世(トム・ホランダー)★実在(1859-1944):ドイツ皇帝。
⑨ニコライ2世(トム・ホランダー)★実在(1868-1918):ロシア皇帝。
⑩アレクサンドラ皇后(アナスタシア皇女)(ブランカ・カティク)★実在(1872-1918):ニコライ2世の皇后。ラスプーチンの熱心な信者。
⑪グリゴリー・ラスプーチン(リス・エヴァンス)★実在(1869-1916):闇の狂団のメンバー。魔術を操る不死身の祈祷僧。ロシアで暗躍。
⑫エリック・ヤン・ハヌッセン(ダニエル・ブリュール)★実在(1889-1933):闇の狂団のメンバー。ドイツのエセ預言者。参謀役。
⑬ウラジーミル・レーニン(アウグスト・ディール)★実在(1870-1924):闇の狂団のメンバー。ロシアの革命家。
⑭マタ・ハリ(ヴァレリー・パフナー)★実在(1876-1917):闇の狂団のメンバー。妖艶な女スパイ。
⑮ガヴリロ・プリンツィプ(ジョエル・バスマン)★実在(1894-1918):闇の狂団のメンバー。セルビアの民族主義者、テロリスト。サラエヴォでフェルディナント大公を暗殺。
⑯フランツ・フェルディナント大公(ロン・コック)★実在(1863-1914):オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者。サラエヴォでプリンツィプに暗殺された。
⑰アーチー・リード(アーロン・テイラー=ジョンソン):戦場で帰国命令が出たコンラッドが入れ替わる下士官。
⑱ウッドロウ・ウィルソン(イアン・ケリー)★実在(1856-1924):第28代アメリカ大統領。マタ・ハリのハニートラップに落ちる。
⑲アメリカ大使(スタンリー・トゥッチ)。
⑳アドルフ・ヒトラー(ダフィット・クロス)★実在(1889-1945):ドイツ国首相・国家元首(総統)。★本編中には出てこなく、エンドロールで登場する。待ちかねました(笑)。
㉑そして、闇の狂団のボスである謎の「羊飼い」:★終盤で正体が明かされるが、上記に含まれる、あっと驚く意外な人物です。

❹得点(良かったこと):

①国家に属さない世界最強のスパイ組織「キングスマン」の活躍を描いたシリーズ3作目の本作は、3作中ベストの仕上がりで、最高に楽しい。
②これまでと同様、荒唐無稽ではあるが、ジョージ5世(イギリス国王)、ヴィルヘルム2世(ドイツ皇帝)、ニコライ2世(ロシア皇帝)、アレクサンドラ皇后(アナスタシア皇女)、フェルディナンド大公(オーストリア=ハンガリー帝国の皇位継承者)、ウッドロウ・ウィルソン(アメリカ大統領)、ラスプーチン(祈祷僧)、レーニン(ロシアの革命家)、ヒトラー(ドイツ国首相・総統)、マタ・ハリ(女スパイ)等々の歴史上の実在人物を多数登場させた虚実混交の設定は、「どこまでが本当なのか?」を類推する面白味がある。
③息子のコンラッドは国のため戦地で戦うことが使命であると思っているのに対し、昔戦地で妻を亡くしている父のオーランドは、最愛の息子が戦地に赴くことを許さない。もしもコンラッドが戦死すれば、妻に申し訳が立たないためである。そのオーランドの気持ちが痛切に伝わる。コンラッドの勇む気持ちも理解するが、戦争の実態を知らないためだと思う。事実、戦地に立ち、仲間たちが次々倒されていく現実を目の当たりにしたコンラッドは、初めて父の気持ちを理解したのである。
★第 1 次世界大戦の死者はイギリスだけでも90万人超、全体では853万人にもなる。
④58才のレイフ・ファインズが、若者顔負けのアクションをこなしている頑張りに感動した。
★本シリーズはまだまだ続きます。to be continued.

❺失点(不満だったこと)
①闇の狂団のアジトが、数百メートルの断崖絶壁の頂上にあり、昇降手段が不安定な繊維ロープのリフトのみという設定は、ビジュアル的には面白いが、実際問題としては不便この上なく、ありえないと思う。既に飛行機や電動エレベーターがあった時代なので、もっと近代的な手段にして欲しかった。これは許容範囲内。

❻トリビア
①エンドクレジット終了後、次の一文が表示された。
「The making and authorized distribution of this film supported over 15,000 jobs and involved hundreds of thousands of work hours.」
②2013年以降、「映画製作が雇用創出に貢献している」とのメッセージをエンドロールの最後に示す作品が出てきていて、小生が気が付いた範囲で本作は37本目となる。
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