はる

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒のはるのレビュー・感想・評価

4.1
メイキングを観てからの方がより深い感動があると思える。それほどにとてつもない手間と工夫がなされているのと、昨今のCGアニメとの違いがわかりにくくなっているくらいに精巧なストップモーション・アニメは「精巧すぎる」と言ってもいいくらいに進化している。
前作の『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』も凄かったが、さらに進んだような印象を受ける。
凄すぎてストップモーション・アニメの味が薄れていないか? とも思えるが、「ライカの作品」としての格はさらに上がったとも言える。無二の映像体験を味わえるのだ。

ネタバレになるが、物語としては懐古的な英国趣味に満ち溢れていながらも、やはり現代で語られるべきものになっているのが素晴らしい。
ピゴット=ダンスビー卿はエリート意識のかたまりで、未知のものを探究するとしながらも自分たち貴族こそが絶対であり、それ以外を蔑視、否定する。学術的な成果すら認めないし、握り潰そうとすらしてしまう。

フロストもまたその仲間入りを目指していたが、彼らと違ったのは目の前に存在する未知なるものや知性を否定しなかったことだろう。根っからの探検家ということなのだろうし、その純粋な探究心こそが彼のアイデンティティなのだ。
そういう気付きをミスター・リンクやアデリーナとの旅で得ていく、ということでストレートな物語ではあるが、子供から大人まで伝えるべきものだと思う。アデリーナの振る舞いも現代的と言っていいだろう。

それにしてもクライマックスの氷壁でのしつこさには笑った。あのクドさが笑えるかどうかは今作の評価をわけるかもしれない笑。
ただ興収のことを知ると、あの構図はライカそのもののような‥。フロストたちのように頑張って次に繋げて欲しい。
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