このレビューはネタバレを含みます
『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督作品。
ロデオライダーとしての成功を夢見ながら、ロデオ中の事故と怪我の後遺症で夢を絶たれたカウボーイの、その後の生き方を描くストーリー。
自分のためにも家族のためにも、新しい生き方を見つけなければならない、でも夢も諦めきれない…
という状況は普遍的で共感できる。
ロデオや馬の調教師としての生き方はわからなくても、家族の物語や、挫折と再生を描くストーリー、狭いコミュニティで支え合う人々を描く物語としてスッと胸に入ってきた。
そして演じているのが、主人公のモデルになった本人。
(もともと監督の知人だったらしい。)
家族や兄貴分と慕うロデオ仲間も本人が自身を演じている。
主演俳優の仕事(本業)の都合で撮影できる時間帯が限られていたため、マジックアワーを多用した撮り方になっているとか。
自然や光、人々や馬をとても美しく切り取った映像が印象的だった。
主人公が進むその先を結論としてはっきりとは見せていないからこそ、夢を失っても人は生き続けることができる、あるいは一度夢破れたと思っても諦めることはないんだ、と感じさせるラストになっていたと思う。