ベルサイユ製麺

ハロー、グッドバイ。のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ハロー、グッドバイ。(2016年製作の映画)
3.4
“台北発メトロシリーズ”は、台北を舞台にした単体映画作品の束です。全7作のうち、現在3作品鑑賞済み。…しかしですね、途中で気がついたのですが…今作が最終作のようです!!
…まあ、別に作品毎の関連性とか無いから平気かな?とか思ってたんですが、オープニングでその他の作品の感動的なシーンのメガミックスみたいのが流れますね。うわー、見たくない…。

まあ当然観たんですけど…。
主人公の女の子、小捷。
レゴのミニフィグみたいなつるんとしたショートボブ。ブルーのスタジャン。ちょっと太田莉菜ちゃん系のシャープさが有ります。


かつて小捷はパパの事が大好きだった。メトロの管制室?で働くパパの仕事終わりを待って、一緒に星を見ながら帰路につくのだ。…でも今は、パパを待つこともない。
小捷はイラストを描いている。いつかイラストを仕事にしたい。

金曜日の午後、電車の向かい側のホームに決まってドッグフードを持って立つ、優しそうな男の子の事が気になってしょうがない。彼だけを描き貯めた秘密のスケッチブックが有る。

少し離れた大学に行くことになっているので、思い出がいっぱいの家から出なければいけないのだが、…気が重い。荷物の整理が全然出来ない。小捷は決断・行動がいつも一瞬遅れてしまう事を自覚している。踏み出せない…。

!!後日、全く意外な形で彼と知り合った。彼の名前は小剛。ネットカフェなどで働いている。思った通り、いや、それ以上の好青年。
二人は交際するようになる。


✨✨✨✨👁
青さに目が痛くなるようなピュアなラブストーリー!だって手すら繋がねえんですもん。…“すら”ってなんだ!

二人はとにかく波長が合うようで、よくある“着いたり離れたり”みたいな恋愛模様は全く描かれません。暫くは台北のあちこちを仲良くデートして回るだけの展開ですが、嫌な感じはしませんね。興味本位でタトゥースタジオを覗くシーンが有り、「クロロのタトゥーいれる?」みたいな台詞があったのですが…クロロってHUNTER×HUNTERの⁇全体的に黒いからめちゃくちゃ痛そうだぞ?それとも額のマーク?…は置いといて、中盤までは小捷の、“夢に向かって踏み出せない”ってのが物語の中心テーマになります。勇気を振り絞って持ち込みに行っても「売れる作風じゃない。言う通り描くならデビューさせる」なんて言われちゃいます。…頑張って!!
物語の進行に合わせて、徐々に二人の現在の家庭環境の事が語られ出します。辛い…。しかしそれ故、小剛はビルの屋上から「愛する人と家庭を築くぞー!!」なんて叫んじゃったりして、もう目に続いて耳も痛い…。

ところが、ある日、ぱたりと…
というのがラストへ向けての展開です。
…苦悩、苦難の中、小捷は地下鉄の乗客たちの不思議な縁を可視化したような作品を生み出し、コレが好評でデビューが決まります。作品群のテーマは“台北発メトロシリーズ”。

この辺りからポツポツと気になる描写が入って来ます。…なんだか他の作品で観たシチュエーションだな?
実は今作『〜終点〜 ハロー、グッドバイ。』は、他のメトロシリーズと部分的にリンクしてるようなのですよ!うわぁ!尚更最後に観たかったわ!!!
…うん、でも良い作品でしたよ。なんとか補完を目指したい。あと三作品。

とにかく印象的なのは小捷役のテレサ・デイリーですよ。凄くスリリング(?)な美しさです。スタイリングも、台湾のファッションってギリギリ素っ頓狂って感じしますけどしっかり似合ってます。超可愛いセーター着やがって、こんちくしょう。…ちょっと調べたところ、以前はテレサ・チーという名前で『トランスフォーマー ロストエイジ』に出たりしてるみたい。今後も注目します。トランスフォーマーは観ません。
ちょっと気になったのが劇伴。蓮沼執太とか網守将平みたいなクリッキーなインストポップなのですが、常にLとRのフレーズが一拍ディレイみたいにズラされていて凄く気持ち悪い…。普通にしろー!

あと、完全に憶測なのですが、作中“並行世界”っていう考え方が出て来たりして、ひょっとすると日本のアニメの影響を受けている物語なのかな?なんて思いました。憶測です。ところで若いオタクの方がたまに使う“世界線”っていう概念の事を誰か教えて下さい。並行世界とは違うの?
日本の漫画のコラージュが壁に貼ってあったり、やっぱり日本文化の影響は何とは無しに感じられましたね。
そういえば小剛が、「さよならはわかれではなく、また会うためのあいさつ」なんて口走るのですが、このフレーズ大丈夫⁈JASRACは宇宙の果て、地の底まで追って来て、ASSの毛までむしり取るんだよ⁇