PaoloSorrentino

WALKING MANのPaoloSorrentinoのレビュー・感想・評価

WALKING MAN(2019年製作の映画)
2.0
試写会にて、監督のラッパーとしての作品も含め事前情報なしでの鑑賞
当選しなければ絶対に自分では選ばないジャンルの映画だったので、ありがとうございました。

初監督作ということで、それだけで心から羨ましく、また、想いから完成させ、公開まで持っていったことが最大の評価

トークショーでもあたたかい目でレビューするようにお願いされ、また、監督さんと脚本家さんの人柄や関係性も応援したくなる感じだったので、少なからずあるマイナスポイントや疑問点は正確に指摘することはできますが目をつむります。

私は様々な監督の初作品や初カラー作を意識的に観ています。
監督が撮りたいものやどうしても表現したいものが撮れていて、結果的に映画史の中でもその監督にしか撮れない映画になっていることが多いからです。その後、経験を積んで、予算を多く使えるようになった作品よりも映画として面白く、その監督の最高傑作であることも多いです。

そういう視点でこの映画を観ると、とてももったいない。
ストーリーも演出も様々な要素を入れ込んでいるが、良くも悪くもマンガ的で表層的になってしまっている。おそらくターゲット層を20代前半までの現代的エンターテイメントが好きな方々にしているのだろうから、仕方がないのかもしれないが、大人が味わう映画としては、とても厳しい。
そして何より、この監督にしか撮れない映画とはどうしても感じられない。

音楽を全てラップにして、全編で使用したり、環境の過酷さや人間の汚さや醜さを綺麗事にせず描き、のたうち回る様を冷徹に撮り続けて、それでも微かな希望を消さない、くらいのテイストで撮った方が観たかった。

ただ、ラップは声を挙げることすら許されない者たちが、想いを届ける武器であることは充分に伝わりました。

ありがとうございました。
PaoloSorrentino

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