PaoloSorrentino

春画先生のPaoloSorrentinoのネタバレレビュー・内容・結末

春画先生(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

試写会ありがとうございました
塩田監督のトークショーも最高でした

メインビジュアルから受ける印象だとポップでガーリー過ぎて、塩田監督好きでも正直不安だったが、『月光の囁き』を観た時のような映画的陶酔を感じた

劇場で観ることを強く薦めたい映画的映画

現実世界のリアリティと映画的リアリティを区別しない人は受け入れないだろうが、映画は全て嘘であり、つくりものだから現在の価値観や倫理観にとらわれず、常識や権力を揺さぶり否定する役割がある

この作品には世間の目にとらわれず、己の道を突き進むエネルギーがあるから、心地好い

観客を笑わせようとするコメディよりも、好きなものを愚直に追求する姿を描くだけでも人間の滑稽さは表現できるし深みがあり好き

先生の好きなものを語る時の表情や息遣いや、腰を振りながら説明する姿など滑稽で魅力的

それを受ける弓子の疼きに近い高揚した身体表現なども滑稽で魅力的

一葉の目だけで相手を迷わす妖しい魅力

辻村の飄々としてつかめない怪しい言動

演出や映像的にも遊びが多くて素敵
特に、タクシーの車内の色調は近年観たことのないムードが感じられた

頭にスマホは現代的なはずなのに呪いの札のようで、おぞましさと滑稽さで困惑する

元来、性行為の動き自体がはたから見たら滑稽であり、人間が生きること自体が卑しくて汚ならしくて滑稽なもの

己の好きを追求する姿は、はたからみれば滑稽であり魅力的

二人の世界で互いに納得できれば、常識も倫理観も第三者の意見など必要ない

言及したい箇所はいくつもあるので、最初と最後だけ

オープニングで見間違いでなければタイトルが障子の奥から出てきたのが、初めて見た演出で洒落ていて素敵

ラストが、石段の上段に弓子がいて先生と一緒に的を射る弓を見る間と終る間が洒落ていて素敵

弓のようにしなやかで力強い人も作品も素敵

塩田監督にはやはりこういう偏愛狂愛と言うか自由な愛のかたちを描き続けて欲しい

塩田監督作はこれからも見続けたい
PaoloSorrentino

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