偉大なる映画監督と同姓同名であるが、助監督として過酷な現場で心身をすり減らしながら働く黒沢。彼はいつか、敬愛するトビー・フーバーのような映画を撮るため、理不尽だらけの現場にも堪え続けていた。そんな黒沢の映画を愛する強すぎる気持ちが、撮影現場に奇怪な変化をもたらしていくのだが……。
「死霊のはらわた」に「学校の怪談」要素を混ぜ込んだような、B級ホラーを地でいく本作。チープな作りと、支離滅裂な内容に失笑を禁じ得ない部分もあるが、後半はどこか愛おしさを感じた。
パワハラ、低賃金、モラルの欠如と、まるで近年問題視されている日本映画界の闇を凝縮したような作品。最後のある演出は、そんな業界を作り上げたのは身勝手に映画を消費していく観客にも原因があるとでも言わんばかりに、怒りをぶつけているようにも取れる。ゴーストマスターは、映画を愛し、夢や希望を抱いて業界に飛び込むものの、やがて失望して去っていったクリエイター達の嘆きや哀しみが生んだのではないか。本作を見終わった今、そう感じてならない。
