ジェイコブ

リンダはチキンがたべたい!のジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

フランスの郊外に暮らすポレットとその娘リンダ親子。リンダが幼い頃、料理上手の父親は夕食中に亡くなり、以来リンダは父の記憶は定かではないがその夕食で食べたパプリカチキンの味を忘れられずにいた。ある日、ポレットはリンダがイタズラで夫の形見の指輪を失くしたと勘違いし、リンダをぶってしまう。後に飼い猫が飲み込んだとを知り、娘を傷つけたことを知った彼女は、お詫びに何でもすると約束する。反省するポレットを見たリンダは、父との唯一の思い出であるパプリカチキンが食べたいと言う。ポレットは夫のレシピを引っ張り出し、パプリカチキンを作る決意を固め、買い物に出かけるのだが、町では大規模なストライキにより、物流がストップしていた……。
フランス産アニメ映画。内容はチキンを巡り、町をも巻き込む騒動へと発展していくドタバタコメディ。フランス版新喜劇、ドリフというべきか。フランスのコメディといえば、奇人たちの晩餐会が印象的だったが、本作もまた社会風刺の利いたブラックジョーク混じりの笑いが散りばめられている。
日本アニメでは中々見られない線画でありながらも、色をオシャレに使いこなすことで印象的で個性溢れる作品へと仕上がっている。また、それぞれのキャラクターが作り上げられていることもあり、80分弱のアニメ作品として非常に見やすい作品だった。
チキンを巡るリンダの家の食卓における冷凍食品は、父が夕食中に亡くなったこともあり、食事によって希薄になってしまった家族の絆の象徴といえるだろう。そんな親子の絆が食事がきっかけに再生し、また食事を通じて紡がれる新たな出会いも魅力的に描かれている。
個人的には、両津勘吉もびっくりの自転車アクションを見せた若手警官が好き。彼が最後、まさかの相手と結ばれたのは意外だったが笑。