みかぽん

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのみかぽんのレビュー・感想・評価

4.0
〝第一次世界大戦のドキュメンタリー〟と言うこと以外は何も情報なく鑑賞開始。

まぁ恐らく古いフィルムを繋いでひとつに纏めた映画なんだよね、と思いながら鑑賞を始めたが、何か様子が違う。
100年以上昔の第一次世界大戦映像なのに、フィルムがカラーなのだ。しかも兵士が語るナレーションが入っているし、フィルム自体も「さっき撮って来た?」位の滑らかさなのだ。

てことで、早々に混乱💦
ひょっとして現代の俳優さんが昔風にして演じてるとか⁇ …いやいや違う。写っているのは今世紀の人達じゃない。てことは、何かの方法でここまでクリアに蘇らせたってことよね。て言うかこちら、第二次じゃなくそれより前でしょ?
えぇ〜💦ちょっとこれ凄くない⁇

監督はピーター・ジャクソン。祖父が第一次世界大戦で従軍し、子供の頃から祖父の影響を受けて育ったそう。この辺りは「1917」のサム・メンデスも似た経緯。
でも作成過程は全く異なり、PJはイギリスの戦争博物館に保管されている膨大なモノクロフィルムに色を戻し、声を入れ(しかも語り部の訛りまでもを完璧に再現させて)1秒12フレームのコマ送りを24に修正し、傷だらけのフィルムはリマスターさせる念の入れよう😵。。

今から15年位前に出かけた、戦争写真家、ロバート・キャパの〝Capa In Color〟という第二次世界大戦当時を収めた全編カラー撮影の写真展には、過去と言うフィルターが取り払われた圧倒的な臨場感があった。
今回の映画はまさにそのリアルさの上に動きまでもがスムーズなので、正に〝彼らは生きていた〟を実感しまくる完成度だ。

本作は国の熱量に押されて故郷を離れ、死と隣り合わせの戦下で耐え、友を失い、悪夢の中を駆け抜けて行った彼らの回想で進んでゆく。
彼らの言葉には戦争の本質が語られて、ピーター・ジャクソン渾身の編集がそれを完璧に捕捉し完成させている。
みかぽん

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