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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのbs3のレビュー・感想・評価

4.4
実際の映像と実際のインタビュー音声の持つ力。映像は修復され、着色されて蘇り、読唇術で解析された言葉と効果音は付け加えられているものの、当時の生々しい正直なインタビュー音声が心に突き刺さる。終戦100年を過ぎた第一次世界大戦が目の前に。
1914年、第一次世界大戦、開戦。機関銃、戦車、飛行機、毒ガスなどの実戦投入された西部戦線。志願した多数の未成年の若者たちを含む多数の男たちが死傷。イギリス陸軍兵士たちの経験したものとは…
映像に施された修復と着色は、言葉で言うのは簡単であるが、見れば見るほど大変な作業の結果であることがわかる。様々なフレームレートの映像を24fpsに違和感なく統一させたことだけでも超人的。志願から、訓練、戦闘、終戦、帰還までを、カラー映像シーンをモノクロ映像で挟んだ、「オズの魔法使」オマージュの構成も効果的。戦闘以外の食事や治療、娯楽などや、ドイツ兵捕虜との交流シーンも、当時を語る上で大切だと思った。
冒頭から、当時のインタビュー音声の音質に驚かされた。とてもクリアで聞き取りやすくなっている。多分、整音および修復が上手に施されていると思われる。そのことによって、修正前の当時の映像から切り替わった修正後の鮮明な映像に、アフレコされた音声や、追加された効果音などにも負けないインタビュー=ナレーション音声となっている。素晴らしい。
第一次世界大戦を描いた「1917 命をかけた伝令」と観比べると言うよりも、両方ともに観るべき作品。共に、監督の祖父の従軍経験がきっかけという共通点もある。ぜひ。
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