茶一郎

ジョジョ・ラビットの茶一郎のレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.2
 たとえ正しくないファンタジーでもそれを大人が守ってあげる。何と優しい映画なのか『ジョジョ・ラビット』。
 加害者版『ライフ・イズ・ビューティフル』として、人生は絶望が最後ではないと教えてくれる、やっぱり優しい映画だ!

 悲劇と喜劇の絶妙なブレンド。過去作『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』の章立てに引き続き、本作はシンメトリーな構図を多用し、ますますウェス・アンダーソン化するタイカ・ワイティティ!と思いきや、ウェス・アンダーソンの作品になくワイティティの作品にあるのはコメディアンとしてのタイカ・ワイティティなのだと思い知る。少々、歪なコメディですがワイティティヒトラーが本作『ジョジョ・ラビット』の喜劇と悲劇を際立てます。
 
 『BOY』の戦争版として。理想だった父性がファンタジーだったと気付く、『BOY』一貫した過程を描きますが、魅力的すぎるスカジョママ、そして次第に色彩を失っていくファンタジックな世界と、俳優と美術で完全に『BOY』をアップデートさせた印象があります。
 世界に必要なのはヘイトではなく愛、ファンタジーのような偏見を信じるレイシストは、靴紐も結べない10歳の少年と同じだゾと、ケージに閉じ込めたウサギを解き放ち現実を生きましょう。

 動画でもレビューしました
 https://youtu.be/3Llqyc4E3qs
茶一郎

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