けーすけ

ジョジョ・ラビットのけーすけのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.7
2020/01/24(金) T・ジョイ PRINCE 品川 シアター8 22:00回にて鑑賞。H-12

先日観た『グリーンブック』がめちゃめちゃ良くて「映画館で観ておきたかった…」と後悔したゆえ、アカデミー賞にもノミネートされた本作を鑑賞してきました。

はい、良かった・・・。3箇所くらい泣いた。『愛』が最高に溢れてた。
まるで「戦場のボーイズ・ライフ」!この愛はメッセージ!祈り!光!続きをもっと聞かして!(by小沢健二)


ただ、僕はあらすじすら読まず、「第2次世界大戦中のドイツで10歳の男の子を主人公にしたストーリー」くらいの予備知識しか持たずに行ったのはちょっと失敗(理由は後述)。

以下、思いのままに感想。核心ネタバレはしませんが、未見で気にされる方はぜひ鑑賞後に読んでみてください。











あらすじを読まずで鑑賞して困ったのは、主人公の少年ジョジョがヒトラーを盲信・崇拝しており、空想上のヒトラーと会話しているシーンが多くあるゆえ、後々の登場人物も「これ、もしかして空想上の人なのかも?」って疑念が頭につきまとったからで・・・。

最初のくだり、青少年集団“ヒトラーユーゲント”に参加した時も、“キャプテンK”ことクレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)が銃をドッカンドッカン撃ちまくるシーンがあったり、子供が木に投擲したナイフが跳ね返ってしまい自分の太ももに刺さるシーンとか、そのコメディ描写が「もしかして全部妄想とか夢オチじゃないよな…」と考えてしまったのでした。

なので後々登場するユダヤ人の少女エルサ(トーマサイン・マッケンジー)も中盤までその疑念が拭えずに少しモヤモヤしてしまったのが僕の今回の失敗でした。

ジョジョが空想・妄想する人物はヒトラーだけのようで。

あと舞台はドイツだけど「みんな英語なんだなー」って事が気になってちょっと集中できなかった。笑



出演者もとても良いですね。
ジョジョ演じるローマン・グリフィン・デイビス、撮影時は11歳くらいだったのかな。10歳を過ぎても自分で靴紐を結ぶ事ができず、母親に結んでもらったりと、かわいい子供だけど苦悩する感じも出していて「すげえ子役だ…」と舌を巻きましたね。


母親のロージー演じるスカーレット・ヨハンソンは圧巻。個性的ながらも息子ジョジョを愛する演技表現がとにかく凄いです。
美しき最強のスパイブラック・ウィドウこと、ナターシャ・ロマノフと同じ人とは思えないですわ・・・(大好き)

見どころとして、彼女は本作では段の上とか高い所で歩いたりする事が多くて「なんだか変わった見せ方だなー」って思っていたのですが、理由は後半にわかります。理由がわかった時は「嘘やろ!?」って言いそうになりましたし「なるほどなー」でした。そして泣いた。
この描写、ぜひ注目してみてください。


ユダヤ人少女のエルサも可愛い。もしこんな子が自宅の隠し部屋にいたら狂喜乱舞しますわ←
ただ、母親はジョジョにも完全に内緒で彼女を匿っていたのだけど、隠し通すのは無理すぎる気がした。トイレ、急に行きたくなったらどうしてたのだろうか…。とはいえ命がけの戦時中、今の時代では想像もつかない事が多々あったのでしょうね。平和な今の時代に生まれ、映画が観られる環境に感謝感謝。


もうひとつ見どころとして、後半に「ハイル ヒトラー」を登場人物が連呼するシーンがあるのですが、ここもコメディ感で笑わせておいて、その後の展開で「お、おお、、、」と感情を思い切り別の方向へ持って行くという。ここも「やられたー!」って感じたシーンの一つ。



本作、前半はコメディタッチで描き、中盤のある出来事から一気に「戦争とは」というモードに切り替わります。街中の描写でその振れ幅というか、緊迫感を見せる感じも流石な演出。
正直前半は「あまり刺さってこないなー。僕には合わない映画だったか…」って思ってたのですが、終盤に起きる様々な出来事があっという間に僕の感情をかっさらって行きました。


前半の色々な展開を回収しちゃうラストシーンがめちゃめちゃステキで「ここの為に全てが描かれていたのか…」と、ただただ涙。
ほんと、映画館で観てよかった!って思えた作品でした。



上映後、前の席で観ていた夫婦も涙したようで、旦那さんが「素晴らしい!素晴らしい!!ほんと素晴らしい」と、素晴らしいを3回言っていたのが印象的だったなあ。
そんな夫婦のやり取りを見つつ、お腹の中に蝶が飛び交うような感じの痛みってどんなのだったかなあ、とか考えさせられた映画でした。良かった!


[2020-007]
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