mura

新聞記者のmuraのレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
4.3
内調…内閣情報調査室。政権に不都合な情報は握りつぶし、不都合な人間は追いつめる。政権の安定だけを目的とする組織。

職場はうす暗く描かれ、悪の巣窟のよう。これが完全なる作り話、真っ赤なウソに思えないところが今の日本社会の怖さかと。

内調で働く杉原。慕っていた先輩・神崎が自殺したことにより、内調の活動に疑念をいだくようになる。一方で新聞記者として働く吉岡。匿名で送られてきたファックスにより、特区をめぐる政権の不正を探るようになる。ファックスが神崎からのものだと考えた吉岡は、杉原に接近していく…

面白い。惹きつけられる。リアルだからか。安倍政権がかかえる問題、とくに「忖度」にかかわる問題がそのまま映画のなかで描かれる。政権に反旗を翻した元文部科学省事務次官の前川喜平や、官房長官に敵視される東京新聞記者の望月衣塑子らも実際に出てきて、ドキュメンタリーかと錯覚するほど。映画に政権批判の意図があることが伝わる。あまりにもどストレートだから面白いのか。

一方で、官僚の背後にいるはずの政治家の姿は描かない。忖度する官僚の姿だけを見せる。そこがまたリアル。そして不穏な空気を増長させる。

ただ、最後の展開は…、ことの真相は…、大風呂敷を広げすぎなんじゃないかなと…。カケ問題くらいでよかったのに。

で、参院選をまえにこの映画がそれほど話題にならないのが裏があるようで怖い。
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