シャトニーニ

天気の子のシャトニーニのネタバレレビュー・内容・結末

天気の子(2019年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

一行感想が「このいろはす(バニラ味)のCMよくできているよな!」

つい最近メガヒットした「君の名は。」と比較されてしまうのが惜しい本作。より躍動的な筋立てでわかりやすく、舞台も東京に絞り、アクリル絵の具を重ねたような透明のレイヤーに、監督とスタッフ陣の熱量を感じます。

透明さといえば水の表現が素晴らしくて、空中を舞う雨粒や水の球はぶっちゃけ阿部寛がいないだけのいろはすのCMのようで、重量、無重力を感じさせてくる。去年の「ペンギンハイウェイ」を思い出しましたが、都会の雨は爽やかではない、こう汚くて生あたたかいんです。

新海アニメでは比較的能動的なホダカと、強さと自立心を備えたヒナは、記号的でない魅力的な子供たち。家出をし、学校にも通わない、歌舞伎町をふらつく。児童保護局も出てくる。危険な目にも遭う。現実の日本では普通であっても、個人的にアニメでこうした社会問題はあまり描いてほしくなかったです。もっとノーテンキに深淵とか夢を追っているごく普通の少年でいてほしいのに。『君の名は』で危惧した、もはや新海の映画ではない脆さとブレを感じます。なんかもうヒーロー物、いうなれば和製X-メン。ヒナちゃんダークフェニックス。西尾維新ぽいファンタジーとは真逆の

某2名のカメオ出演には、驚くどころかその登場に苦笑い。この二人も前作の世界に干渉しているのだから、そう見ると世界は狭くて面白いかも。こう変わってしまっては、新海ワールドは次は『日本沈没』でもやるか、プリキュア戦士が活躍する時空になりそう(嘘)
展開が性急だったのは映画的ご都合主義のためでしょうか、演出が見事でも「?」ばかり残る脚本でした。隙間を埋めるようにリアルに随所挿入される企業広告や商品、もはや「資本主義の子」っぽくもあります。ネカフェに入り浸り、ハンバーガーを丸かじりする資本主義の孤児たちが、セカイ系を勢いで突き破る、新海ぽくない雑食な衝動感。大人になっても将来成人病になる。バイトルがスポンサーなのにバイトしてる子が労基違反しまくりという点も、なんか時代を逆行しているミラクル。

作中での東京が東京湾へ帰するラスト、中盤での観測史上についての住職の説教などを聞けば、映画史が100年ある中、アニメ映画の変化は微々たる波紋にしか過ぎない。物語も歴史も、まだまだ終わりじゃない。『秒速』や『雲の向こう』のころの、閉塞的な世界の終末を描くエヴァぽいセカイ系から解脱しようとした監督の、決心にも思える。yahoo知恵袋なんかでクドクドいってねぇでさっさと「世界の秘密なんて、最初からぼくらの心の中にあったのさ!」と、男坂を登ればいいんじゃないかな!貴樹もタキもタカオも揃ってさ!ごめんなさい、好きな女ができた青年には「抱けー!」というベストアンサーしか言えないオッサンなんです。主人公らは今までの作品と比すれば、ハードモードでグッドエンドを迎えたゲームプレイのように思えたので。おめでとうとしか言えません

斜め読みすると、これまでの新海作品との比較や、第二のジブリといわれることへの反抗にも思えてくる。このアニメ映画は、メインカルチャーでも、サブカルチャーでもない、ある意味カウンターカルチャーなのだろうか。

大人がみたら大人の無責任さと傲慢、意味がわかる者だけの世界の残酷さが胸に残って批判したくなる(バニラ求人カーのようなもの)し、子供が見たら二人の決意と奇跡を絶賛するんじゃないかと。住職とケイスケの言う、「うぬぼれるな」は、そんな深読みをした自分のような者へのメッセージだったのかもしれないし、そう納得してしまう。ただ実際の小栗旬には言われたくない(笑)



以下、箇条書き
・チキンラーメンとビッグマックおいしそう。
・実際の歌舞伎町はきっとオタクには行き辛いぞ
自分もホストに肩を掴まれたことがあるし
・バーニラ♪バニラ♪バニラで求人♪は卑怯、子供にみせもきかせたくもないのに。都会ではおなじみ、走ってくる闇である。
・小栗旬はほどよく空気。ただ本人CMやってるメーカーズマークを飲むなw
・バイトル推奨アニメ(※但し年齢)
・おっぱいは見るでしょ普通
・魔少年・凪センパイ
・新海監督作、初ラブホ。