白瀬青

天気の子の白瀬青のレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.1
青空、雨、光、水ーー天候と空を描かせたら新海監督の右に出るものはいない。老女が「若い子は本当に美しい四季を知らなくて可哀想ねぇ」とつぶやくとき、画面では美しく陽に照らされるビル群の中に主人公の少年がたたずむ。その美しい自然を映すビル群の中に混ざり込む神社や巫女などのレトロで土着的なモチーフ、不思議な現象。

ああ、もう、自分のかわいさよくわかってんじゃんー。みたいなひねた感想を心の中でもらしながら唸ってました。強い。
細かいツッコミには目を瞑るのが良いです。しかし強い。

「セカイ系が解る人にだけ懐かしい話」「デート映画ぶち壊しに行く容赦のなさ」というオタクの通な俺にだけ解る自慢がネットにあふれるこの映画ですが、そんなことはない、とても爽やかなボーイミーツガールだと思います。エンドロールの後晴れ晴れとした顔で立ち上がったたくさんの夏休みの女の子達の感想を耳にしても。
少年、君が大切なものを抱えているせいで世界が悪くなるかもしれない、配慮して、世界を思い遣ってーーそんな脅迫をじわじわと感じる今日この頃、「少年、君が大切なものを特別扱いして抱え込んでも、君が思うほど世界は悪くならない。きっとそんな罪悪感は自意識過剰だから、繋いだ手を離さないようにして」そんなメッセージと、でも大切なものを抱え込むということは今のまま子どものままではいられないことだという苦い後味をバランス良く感じる良質のジュブナイルと感じました。
(ジュブナイルというには少年少女の隣にある性的な物事がありのままにありすぎてぎょっとしますが)
白瀬青

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