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火口のふたりのmuraのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
4.3
1か月も映画から離れていた。で、久しぶりの映画は湯布院映画祭にて。『cosmic blue』(監督は柳英里紗!)と『子どもたちをよろしく』も見たが感想を書くところもないので、クロージング作品となったこの映画についてまずは。

上演前の舞台挨拶で監督の荒井晴彦は「ロマンポルノ」だと言った。確かにそう。しかも質の高い。

冒頭の写真と音楽により一気に引き込まれる。抱き合うふたりの写真。そのうちの1つは、富士山の火口を写した大判の写真を背景に撮ったもの。いとこでもあるこのふたり、ケンジとナオコが地元の秋田で再会する。ナオコは結婚を間近にひかえるが、婚約者が出張で不在の間、ふたりはあの時のように肌を重ねる…といった話。

最後の展開がいい。ふたりが刹那的、破壊的にセックスをくり返す背景がはっきりする。「死にたい」と言って火口の写真のまえに立つように、ふたりは死にとらわれている。そういったなかで、「からだの言い分」にしたがって抱き合う。いつ、どこでなんて関係なく、貪りあうように。あぁ、まさに「ロマンポルノ」だと。

自衛官の愛読書が『坂の上の雲』、秋田の街中に掲げられる「イージス・アショアいらない」の看板…荒井作品らしい 笑

久しぶりに荒井作品にノレた。
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