踊る猫

アメリカン・ミームの踊る猫のレビュー・感想・評価

アメリカン・ミーム(2018年製作の映画)
4.1
これが承認欲求の奴隷の末路だ! というような単純で力強いドキュメンタリーと思っていたが、蓋を開けてみると違っていた。むろん、ここに登場するインフルエンサーの行動は常軌を逸したものである。私生活を切り売りし、身体を張ったネタを披露し、下品で低俗で時にフェイクなコンテンツを提供することも厭わない。だが、彼ら自身そんな風にネタと化した私生活を四六時中提供し続けることが無理であることは知っている。彼らに待ち受けている未来なんて、きっとロクでもないものだろう。それでもフォロワーのために私生活をネタにし続けるのかと自問自答するインフルエンサーの素の声まで拾っているせいか、私も引き込まれてインフルエンサーの立場に共感し彼らがどのようにして現実に落とし所を見つけて着地するのかハラハラしてしまった。結果的に彼らは彼らなりのやり方で着地する(不時着している人も居るみたいだが)。その意味では二枚腰のドキュメンタリーであると思った。彼らの行動が影響を及ぼしアメリカ(いや、世界?)をどのように変えてしまったのか、そこまで踏み込んだ内容であって欲しかったとも思うがないものねだりというやつかもしれない。
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