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ONE PIECE STAMPEDEのsanbonのレビュー・感想・評価

ONE PIECE STAMPEDE(2019年製作の映画)
4.0
23日より「ユナイテッドシネマとしまえん」にて特別上映されている「"ギア4"DXバスターコールエディション」なるものがあると知り、2週我慢をしてようやく鑑賞。

これはヤッバイの作っちゃったね。笑

まずはバスターコールエディションについてだが、4DXをよく鑑賞してある程度慣れている僕でさえ、驚きすぎてニヤケが止まらなくなるほどの激しさだった。

特に、ラストの「ルフィ」と「バレット」の一騎討ちでの乱打戦。

あの瞬間大地震に襲われても絶対に気付けない程の揺れと振動で、ずり落ちないよう必死に堪えながら、思わず「やばぁ!」と声を漏らしてしまった。

一人なのに…やばぁ…。

そして、今回珍しく両隣とも若いお姉ちゃんだったのだが、右側は気持ち悪くなっちゃったのかずっとハンカチで口元を押さえ、左側は振動で揺れるのかずっと胸元を押さえ「すっごぃ…♡」と、吐息交じりに呟いていた。

…バスターコール、マジで、ヤバかった。

そして本編だが、どう考えてもラストエピソード前のテンションだろこれ。

内容としては「頂上決戦」を彷彿とさせるオールスター作品だが、あの頃よりも格段にキャラクターは増えていて「サボ」や「麦わら大船団」傘下の海賊達など、ルフィに与する仲間も多く参戦しているのは感慨深くただただ最高の一言だ。

なんといっても、今作の敵である「ダグラス・バレット」が現時点で「ワンピース」史上最強クラスの強さを誇っており、打倒バレットのもと「海賊」「海軍」「王下七武海」「サイファーポール」「革命軍」が、組織や善悪の垣根を越えて共闘する展開は、本来作品の集大成とも言うべき"最終兵器"であり"禁じ手"だと思うのだが、それをアニメ放映20周年記念という事で、易々と提供してしまう「尾田栄一郎」先生には畏敬の念しか表せない。

これと似た展開は、原作漫画でも必ずまたやると思うのだが、今回でここまでクライマックス感を見せてしまって大丈夫だったのだろうか。

また、これまでの劇場作品とは違いとても良かった点としては、作中で必ず倒さなくてはいけない敵キャラが今回バレット一人だった事だ。

ワンピースの映画は、いつも思った程面白くならずに終わってしまう印象の作品が多いのだが、その理由として敵キャラも含めたオリジナルキャラクターが複数人登場する事で起こる"詰め込みすぎ感"が挙げられる。

しかも、サブとなる構成員同士の戦闘シーンは「悪魔の実」の能力を駆使したトリッキーなバトルになる事が多く観ていて爽快感に欠けるし、物語の展開要員のキャラも沢山登場する為、2時間程の尺の中に色んな新規要素が詰まり過ぎていて、一つ一つが薄まるわダレるわで正直あんまりよろしくなかった。

尾田栄一郎は、本来何年もかけて一つのエピソードを完結させるのに慣れているから、読み切り感覚で2時間で収まる物量というのを失念してしまっているのかもしれない。

だが、今作は全員が「バレットぶっ飛ばす!」のマインドのもとに矢印が一極集中しているし、戦闘自体もほぼ脳筋バチボコ殴りあい対決なので、かなりシンプルでいてそれがしっかり熱量に変換されるよう構成されている。

これにより、"同じ目的意識を持った者同士が達成に向けて手を取り合う"構図が、見事なまでに"より濃密に"確立出来ているんだから、面白くならない訳がない。

また、今作では能力差未知数のキャラ同士で対決する場面が多く、特に「ゾロ」なんかは「海軍大将」ともサシでしのぎを削る場面などもあったりして、これパワーバランス的におかしくならんか?と不安に思ったりもしたが「ミホーク」の登場でゾロもまだまだだというところをしっかりと示してくれていたのもかなり好印象だった。

そして、今作におけるルフィとバレットの対立構造が「海賊王の資質」でもある"信念"についても対比として表現に組み込まれているのも凄く良かった。

"一人が最強であり一人だからこそ強い"と信じるバレットと、"仲間がいるから自分は強いんだ"と真っ直ぐな志で立ち向かうルフィ。

"真逆の価値観"を、拳に乗せてぶつけ合う展開が今回描かれるが、全くまとまりが無かった「ロー」や「スモーカー」含む共闘組の6人も、ルフィが間に入った途端に同じ方向を向けるようになるのは、まさに王の資質そのものであったし、一人が最強と謳っていたバレットでさえ、今回「ブエナ・フェスタ」という協力者がいなければ事を起こせてもいなかったというのは、実に皮肉が効いていてそこも良かった点であった。

ブエナ・フェスタといえば「ユースケ・サンタマリア」の声優能力の高さには大変驚いた。

近年観てきたタレント声優の中でも、間違いなく群を抜いて上手かった。

あと、僕の勘違いかもしれないが後半の「大バレット」がどう見ても「ドラゴンボール」の「大猿」にしか見えなかったのだが、まあ、それは気のせいか。

正直、アクション表現のバリエーションは、よく比肩されている「ドラゴンボール超ブロリー」の方が多彩だったが、今作は戦闘+信念の在り方まで描いていた分、深みはこちらがやや優っていたか。

最後に、いつも思っている一番のマイナス点なのだが、劇場版の為だけに毎回アーティストが力を入れて楽曲提供してくれている"主題歌"は、フルバージョンで流せ。

過去には「BUMP OF CHICKEN」や「Mr.Children」なども、かなりの名曲を書き下ろしてくれているのに、何故いつも短縮したものを使用する。

TVアニメは毎週やたらと長いOPを放映しておいて、映画ではその2〜3分の割愛になんのメリットがあるというのだろうか。

そこは敬意を払う意味も込めて、要改善を求む。

とにかく、内容としてはワンピースを知る者なら誰もが興奮出来る最高傑作と言っても過言ではなく、ここまでアクションに特化しているのなら、どうせなら4DXでの鑑賞を強くオススメしたい作品だった。

それにしても、海外に展開する際の「ラフテル」の綴り問題はどう解消するのだろうか?

それだけが気がかりだ。

ちなみに僕の選ぶ映画「ワンピース」トップ3はこちら。

①スタンピード
②冬に咲く、奇跡の桜
③麦わらチェイス
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