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シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢のPikKaのレビュー・感想・評価

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スウェーデンに実在するシンクロナイズド・スイミング(アーティスティック・スイミング)チームをモデルにした実話を映画化。
本国フランスで大ヒットを記録し、
同じ年にイギリスでもリメイクされたという傑作。

本作に出てくるメインは7人…
いや、8人の…
中年おじさん!

人生折り返し地点に差し掛かり、
それぞれに家族や仕事などに様々な問題を抱えながらサエない日々を送っていたおじさんたち。
いわゆる中年の危機。
そんなおじさんたちがシンクロナイズド・スイミングのメンバーとして町にあるプールに集うことから人生がまた動き出す。

それまで接点もなく
抱えている人生も違い、
性格も何もかもバラバラ…
水泳競技経験すらほとんど無い
中年おじさんたちが衝突や挫折など
様々な問題にぶつかりながらも次第に絆を深め、さらに各々の抱えている問題とも正面から向き合いながら人生を取り戻していく過程にジワリとする。

中年…いや高齢期に手が届きそうなおじさんたちなので、特にでっぷり飛び出たお腹まわり。

悲しいかな…
とにかく今まさに身に覚えのある、
毎日見慣れた自分を投影したかのような登場人物たちの見た目!
性別は違えど、まさに自分と同じよう。
脂が付きまくり締まりのない肉体、
頭髪が寂しくなり、シワやシミも気になる…
ちょっとしたことで凄く疲れる…

チームの1人、バシルが38歳という設定に「嘘だろ…」と突っ込みかけ、ふと自分を見てみると「…いや、私がコレだから…バシル38歳もアリだな…」と(涙)

おじさんが思春期の娘たちから煙たがられ気を使っている場面などは、子どもたちの気持ちも分かるし、おじさんたちの悲哀さも伝わってきて切なくほろ苦く胸に滲みる…
義弟を軽蔑し罵ることで優越感に浸る姉夫婦に対して妹が言い放ったセリフにも胸が熱くなるし、随所随所に魅せるポイントというかエピソードがたくさんある。

それほどに本作のおじさんたちには身近な存在感があって魅了されっぱなしの2時間。

人生に笑顔と輝きを取り戻したおじさんたちが超かっこいい!

先が予想できる路線ではあるけれども、そこは中年おじさんパワーの凄さと、私たちに身近な日常や心情がうまく散りばめられているから最後まで楽しんで鑑賞できる。

本作をイギリスでリメイクした
「シンクロ・ダンディーズ!」も、
チャーミングなおじさんたち勢揃い♪

今、おじさんがアツい!
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