国。
言語。
性 別。
食 物。
善 悪。
美 醜。
現実 夢想。
人間と
そうでないもの。
境界はどこにあるのか。
そもそも、境界ってなんだ。
どちらが良くて、良くないのか。
どちらが正しくて、正しくないのか。
我々の固定観念で作った"線"を曖昧にしてしまう問題作。
決してホラー映画なんかじゃない。
原題 Gränsは、スウェーデン語で国境や境界を意味する。
生々しい描写は土と水の臭いを放ち、
息づかいや咆哮はおぞましさをもつ。
生理的に嫌悪を抱くが、美しさも感じている。
もう既に"線"を曖昧にしているのか。
野性動物は懐くが、飼い犬は吠える。
どちらの"側"か、わかっているから。
ティーナは港湾の入国審査官。
それは、国境で、善悪をチェックする役割。
その善悪を"臭い"で嗅ぎ別ける。
正しいものを通し。
正しくないものを止める。
その判断材料は、ティーナのこれまでの生き方で培われたものにすぎない。
犯罪を犯す人間たち。
しかし、そうではない者もモラル等はない。
そこに正解は一切示されない。
ティーナはこれからどう生きるのだろう。
これまでの生き方はもうできない。
彼(?)に出会い、真実にふれ、本来の姿や生き方を感じている。
もはや、彼女(?)はティーナではなくなってしまった。
少し整理させるのに時間がかかりそうだ。