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よこがおのmuraのレビュー・感想・評価

よこがお(2019年製作の映画)
4.0
一度飲むところで隣席になった筒井真理子。確かにきれいではあるけど、いわゆる「ふつう」な感じ。でも映画のなかではいつも個性的。年齢による抵抗もあると思うが、ヌードもいとわず。ホント、存在感のある女優だなと。

画家の老女のもとに訪問看護に訪れるイチコ。老女には姉妹の孫がいて、イチコを慕う。あるとき、妹のサキが誘拐される。無事にはもどるが、サキを誘拐したとして逮捕されたのはイチコの甥・タツオであった。イチコは肉親として世間の非難を浴び、予定していた結婚も破談となる。幸福な時間が一気に崩れ去るが、それを誘引したのは、あれほど慕っていた姉のモトコであった…

美容師・ヨネダに髪を切ってもらうところから始まる。イスに座って見せる「よこがお」が不穏。映画はその「よこがお」が変貌していく様子を描く。

監督の深田晃司は相変わらず観る者の心を掻き立てる。浅野忠信を使い、ディーン・フジオカを使い、今度は筒井真理子と市川実日子を使ったか。

イチコのイヌの真似は、呆気にとられるとともに背筋が凍る。また、イチコとモトコがサイやキリンを前にして話す「勃起」の話に、なぜだか恐怖をおぼえる。女と女の複雑な関係がとにかく怖い。

ただ、犯人の母ならまだしも、伯母がここまで世間のバッシングを受けるかと。そこに違和感をおぼえると、今ひとつ気持ちがノレなくなって…。「加害者」がこうして量産されるっていう現代社会の病巣を劇的に表現するための手段かもしれないけれど。
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