主人公の誕生日に親が亡くなる。

↓

葬式後、号泣する。

↓

終わり



企画としては、かなり興味深くいいと思うのだが、個人的にはその先が欲しかったな・・・。

そりゃ、誕生日じゃなくても親が亡くなったら泣くだろう・・・。

誕生日に亡くなったからこその何かが欲しかったのに、「誕生日おめでとう」の手紙以外何もない。

もう一つ誕生日に親が亡くなる特有の何かがあれば、また全然評価が違ったんだろうけどな・・・。

残念！！！


そういえば、車の後部座席から急に親戚のおばちゃん（？）が出てきたけど、あれ一瞬母親の亡霊だと思ったのは私だけだろうか？？

【ポールスミス】

山田香奈監督作品。

お母さんが亡くなったあとの息子は全国世界共通のこの図になる。

人といる時・話すときは平常心を必死に保とうとするけど、家で一人になると咽び泣く。
誕生日と手紙の贈り物はズルい。

いつまでも子供を想う母。
あるべき姿。
とかくマザコンと叩かれがちだが、適度なマザコンは優しい子の証拠。

いつまでもあると思うな親と金。

2020.4.25

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先日、そう遠くない実家の独り暮らしの母が風呂場で後ろへ転倒して頭などを打った。さいわい大事には至らなかったけど、むち打ち症みたいになってる。駆けつけた私に、明るくも暗くもない母（乙羽信子似）は礼とともにこんなことを言った。「今回はただの不注意だったけど、あたしももう齢だから今後いつ死ぬかわからないよ。あんたたち子供には極力心配や迷惑かけないように気をつけますけど、一応、万が一を覚悟はしといて」………「五十代じゃん。死ぬわけないでしょ」と厭そうに笑みを返した私だった。

別の日、ＰＣいじっててこのショートフィルムを再発見。去年ぶりに観てみた。新宿Ｋｓの山田佳奈監督特集では私を一滴泣かせた好印象作だ。（あの時は傑作『夜、逃げる』との併映。）
母親の葬儀からの帰路の穏やかな車内、そして帰宅後の泣き崩れまでを優しめに清潔に正攻法で描く。途中の佳奈さんの出現からサイドガラス反射光あたりが巧い。照井健仁さんの研ぎ澄まされた “若さの風格” とでも評せる熱演に、まばたきを忘れる。彼の頬がちっとも濡れてないのを確認できたせいか、Ｋｓぶりにもらい泣き、とは今回ならなかった。
ただ、私自身の母のことをあらためていろいろ考えさせられてしまった。父は、既に私が二十歳そこそこの時に癌で逝ってる。。

弱気でいた今週、兄と LINE で通話した。母の快復具合の件とか。私は、ついこんな弱音をこぼしてしまった。「お母さんが急に何かで死ぬようなことがあったら、あたし、人生の目的が半分なくなると思う。半分になったら、全部なくしたのと同じ気持ちになるかもしれない。きちんと親孝行することが人生の目的の約半分だから、それがほとんどできずに終わったとなったら、もう………」「できずに、って、何のことを言ってんの？」「それは、いろいろだよ……」
一人きりのきょうだいである三才上の既婚の兄は、私とは今でもしょっちゅうデートする仲（で口喧嘩も多い）。
もごもご言う私がやっと正直に「自分の結婚式の時に両親がいない、ってことをリアルに想像したりして、絶望的に心が寒くなっちゃった」こととかを打ち明けると、「大丈夫だよ。お父さんの時に約束したとおり、バージンロードは俺が一緒に歩いてあげるから。その程度のことでくよくよすんなよ。世の中みんなが困ってる中で、ワガママ言わないで」と兄は諭しを言った。言葉自体はわりと温かだ、、、けれども、声の調子は意地悪めだった。これは慰めには聞こえなかった。つきあい長いから、面倒くささはちゃんと私に伝わるのだ。それでうっかり、さらに甘噛みを続けてしまった私。「ワガママって言われると傷つくな。兄ちゃんには、未婚の人間の気持ちがわからないんだよ」と。
それでムッとしたらしくて兄は、ひどいことを言い足した。「俺はマリみたいにふらふら生きてないもん。少ないチャンスをしっかりムダにせず大切にした人間だってだけだもん」
私の人生はふらふらか？？　そりゃ、兄と比べれば恋愛も職業もこの齢で “遍歴” といえる内容を持つかもだけれど（そして実際軽々しい行いもしてきたけれど）、振る時も振られる時も転職時も生命賭すぐらいの真剣さで悩んだり闘ったりしてきたつもり。常に崖っぷちで生きてきた自信だけはある。
それで、子供じみてるとはわかりつつも兄と言い合いに近いことを続けてしまった。。
最後に「もういいよ。あたしは家族が少ないから、お母さんが死んだらそれであたしも淋しく終わりってことにします。あなたにはできるだけ迷惑のかからないような方法で、身辺整理きちんとやってからいなくなります。ワガママに生まれてすみませんでした」と言い捨てて、通話やめた。
すぐ何度も呼び出し音が鳴ったが、もう私は出なかった。（兄妹険悪だった高校生頃、厭がらせにキレて兄を殴り倒して父母を騒がせたことなどを思い出した。。。。。。。。。）

一時間ぐらい経って、そのLINEに兄からのメッセージが入ってた。「マリは冗談が多いから全部冗談だとわかってるけど、一応、母に依頼しておきました。遺言書くように。『喪主はマリ、四十九日法要も一周忌も三回忌も七回忌も十三回忌も全部マリに取り仕切ってもらいたい』って書いてくれと。母は快諾していたよ。そういうわけなので、マリは長生きしてください」
謝る代わりに変な文を書いてきた兄。どう返信したらいいか私はその頃には熱くなくなってるから、単に困った。自分が精神年齢低すぎることに愕然とする小一時間だった上に、まったく余計に母の心まで乱してしまったかもしれなかった。
くたびれたまま、なおしばらくスルー。

そしたら、今度はＧメールが来た。兄嫁からだった。「え？……」と私は眉を顰めた。兄に配偶者と息子がいることも一時間完全に忘れていたから。とにかく読んだ。
「私もマリちゃんの家族だよ！　マリちゃんは私の家族だよ！　これからも一生、ずっと」
スマホを握りしめて私は、、、、、
。。。。。。。


といろいろそんなことがあった夜、寝る前に、もう一度さっきの映画を観た。ちょっとまた違う感情が湧いた。兄嫁に号泣させられたためにもう涙が残ってなくて、照井健仁さんが恋人との電話で「泣いてないよ」と泣きつづけるシーンを見て私は自己嫌悪の恥ずかしさでいっぱいになった。
この世には大変な思いをしてる人が本当にいっぱいいるというのに私は何てワガママで心が狭くて幼稚で幸せなんだろう。バ・カ・マ・リ。

てか、転ぶ母（乙羽信子似）が一番悪い。バカ長女に恥をかかせた。


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