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ロマンスドールのmuraのレビュー・感想・評価

ロマンスドール(2019年製作の映画)
4.0
オリエント工業のショールームを見てみたいと思い御徒町まで行ったが、予約が必要とのことで見られなかったことがある。そのとき見たかったのは石原さとみそっくりのラブドールだったが、今はここに出てくる蒼井優そっくりのものが見たい 笑

ラブドールの工場で働きはじめた哲雄。先輩の相川とこだわりのラブドールを作りだすことを目指す。求めるのは人肌のような手触り。哲雄と相川は生身の乳房から型をとることを思いつき、医療用人工乳房を作るためと偽って美術モデルを募集する。それに応じたのが園子。哲雄は型をとり、さらに乳房に触れたとき、恋に落ちる。ふたりはつき合うようになり、やがて結婚する。しかしラブドールを作っていることは秘密。さらに年月とともにすれ違うことも多くなり、関係に変化が生じる…って話。

いわゆる「大人のラブストーリー」。ロマンポルノといったものではないが、セックスを物語の中心に置く。そこにラブドールを介在させ、着想は奇抜で面白い。でも、ちょっと美しすぎて眩しいかな。僕にとっては。

ラテックス、ソフビからシリコンへ、さらにエラストマーへと、「人肌」を求めて素材が変わっていく。さらに「一体型」を目指して試行錯誤をくり返すも、それが完成すると精巧すぎて摘発される。ウンチクが随所に散りばめられているのはいいなと。面白く見た。

哲雄が乳房に触れたときにいだく「クララが立った」といった感想も、この女性監督の普通ではないセンスによるんだろう。嫌いじゃない。

朽ちていきながらも花を咲かせる桜か…眩しくもあるけれど、確かに勇気を与えてくれる話だなと。

ピエール瀧がここにも。やっぱりいい味を出している。で、少し気が早いが、今年の助演男優賞をきたろうにあげたい。
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