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フォードvsフェラーリの群青のレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
3.6
2020年劇場観賞3作目。


車は正直あんまり興味ない。
そんな僕でもこれは上がりましたよ!!
血液が、テンションが、エンジンの如く回転して上がっていったよ!!


フォードvsフェラーリっていうタイトルは半分合ってて半分合ってなかった。
もう半分はフォードvsフォードだった笑

どういう意味かっていうと、要は個人vs組織。
俺たちはこうしたいのに会社はファッキンなことを言ってきやがる!何クソやってられるか!みたいなシーンがたくさんある。
理想と現実に挟まれながら自分の信念をいかに突き通すかという話で、大体これを共感できるのはある程度仕事をしたことがある中年の人々だと思う。

主人公のクリスチャン・ベイルとマッド・デイモンはどちらも社会から離れた位置にいて夢を諦めている。そんな中、24時間対抗レースに常勝しているフェラーリとひょんなことから対決することになる。
彼らが属するフォードは大衆の車ばかりでレースの車なんて作ったことがなかったからだ。
お高く止まったフェラーリを俺たちで王者から引きずり落としてやる!という話。

まあこういうあらすじだからこうなるだろうなっていう展開はある程度予想がつくがその予想以上にフォード上層部の茶々入れがめちゃくちゃウザい!
まあこういうドラマだから敵にはウザくなって守らないの困るのだけど笑

主人公2人もそれこそ信念が強いからぶつかりまくる。
個人的に好きなのは2人の取っ組み合いなシーン。このやろう!という剣幕で殴り合い掴み会するのに、ある瞬間マッド・デイモンがビンを手にするんだけど、それはあえて捨ててチップスに持ち変えるんですよ。
理性をかなぐり捨てて喧嘩してると思いきや思い切り相手を慮るんですよ。正直萌えましたね笑


先程ある程度展開は読める、と書いたけどラストは全然違う着地だった。
でもこのラストがまさに理想と現実の狭間で生き続けた男の生き様って感じでむしろ素敵でかっこいい。

俺が観たい景色、俺が欲しかったもの、それは…ここにあるぜ!という、なんとも煌びやかででも決して綺麗すぎもしない。
ビターでありつつもでも彼にとっては最高だった、という瞬間をパッケージしていた。

今日も今日とて仕事や自分が置かれた環境に疲弊している時、何の気なしに見てみると思わずラストまで見てしまう。そんな魅力を持った作品だった。
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