ブロックバスター

DUNE/デューン 砂の惑星のブロックバスターのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
3.5
見終わった後の素直な感想:
「いやー私、まだ中二病治ってなくて、良かったわ〜。」

砂漠の星アキラスで繰り広げられる「支配される側と搾取される側」の世界観、そして砂漠の星の周りでうごめく公爵家の利権関係。それらが圧巻の映像とサウンドで描かれているのがDUNEだ…。と、ここまで書いてみて痛感したが、今作は物語を構成する要素がかなり多い。しかも「女子修道会ベネ・ゲセリット」や「サルダウガー」、そして「メランジ」など初めて耳にする用語も多く、かつそれらについての詳しい説明はほぼ皆無だ。

私は正直、冒頭30分くらいは「…訳分からん!」と思っていたが、その「訳の分からなさ」がなぜか心地良い。それは多分、映像の一つひとつが額に入れて飾る程の価値があるほど濃厚だからだろう。さらに音響効果もすごい。未知なものに対峙する時の「ザワザワザワ」という不気味な音は、音に敏感な方には不快に感じてしまいそうなくらいだ。

そんな映像と音響が混ざり合うスクリーンを眺めながら「ああ私は多分いま、人類が初めて目にする映像を見ているんだろうな」と思い興奮していた。そういえば以前にも「誰も見たことがない映像を見せてくれる映画は、とても価値がある映画なんじゃないか」と思ったことがある。そしてそれが偶然にも、今作DUNEを監督したドゥニ・ヴィルヌーヴ氏の「メッセージ」という作品だったのだ。

また、「説明されていない用語が飛び交う映画」は何故か私の「中二病ごころ」をくすぐる。たとえばそれは「ミディ=クロリアン値」や「パダワン」などの専門用語を交えながらスターウォーズを熱論していた、中学生の自分が思い出されるような…。(余談だが、ジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」や宮崎駿の「風の谷のナウシカ」も今作から着想を得ているらしい。)ある意味「“見る者を選ぶ映画”を嗜む」のは、映画好きとしての優越感を生み出すということだろう

いずれにしても一度見ただけでは作品の全貌を理解するのは難しい(だからこそ、正直デートに向いている作品ではないだろう)。しかし「何度も見たくなる濃厚な作品」に出会えたことは、映画好きの私としてはかなりの収穫だった。