すたっく

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーのすたっくのレビュー・感想・評価

2.6
「国民的王道ストーリーにひとつまみのアレンジを加えるだけで、こうも強烈な印象を残すとは…」といった感想です。

評価できる点としては、邦画とは思えないCGのクオリティが挙げられます。
特にキャラクターが縦横無尽に動き回るアクションシーンは、そこだけ切り取れば見ごたえもあって良作に思えます。

最大の賛否両論点は、そのクライマックスにあると思います。
個人的には副題の「ユアストーリー」にも繋がる伏線に、「そうきたか!」という思いがあり、映画製作陣の矜持ともいえる要素を評価したい気持ちもあります。
その一方で「ドラゴンクエストという物語の映画」を期待していたのに、「ドラゴンクエストというゲームの映画」が提供されてしまったことへの寂しさは禁じ得ません。
特に物語の最終局面になってその認識のズレを突きつけられたという点が、この作品の評価に繋がっているのではと思います。
しかし、アレンジを加えなければはるかに良い出来になったかと言われると…残念ながらあまりそうは思えません。
映画ではゲームの圧倒的なボリュームをどうにか1時間40分に納めようという努力は見えましたが、要点だけまとめていても駆け足にならざるを得ない、といった感じでした。
仮にゲームをなぞるように映画のストーリーを構築したとしても、恐らく成功は難しかったのではないでしょうか。

総じて、有名すぎる原作の大きすぎるボリュームと大きすぎる期待に応えようとした製作陣が、映画としての矜持を守ろうと奮闘した映画だと感じました。
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