天気の子のすたっくのネタバレレビュー・内容・結末

話題になっていたものを、今更ながら視聴しました。
賛否ある、と言われていた事前情報よりずっとシンプルで真っ直ぐな思いを感じる映画でした。

新海監督の光の描写は相変わらず息を飲むほど美しくて、特にふとしたカットの水の描写や時折描かれる日差しの色彩にはそれだけで感動を覚えました。

賛否ある点として良く言われる結末ですが、私は以下のように解釈しました。
「ボーイミーツガール作品で良く描かれる『一人の少女と世界、どちらをとるか』という命題は、今のところ『前提をぶっ壊してどちらも手にいれる、スーパーハッピーエンド』『少女を犠牲にして世界を選ぶ、ビターエンド』の二種がほとんどだけど、『世界を犠牲にして少女を選ぶ、メリーバッドエンド』という選択もあるのではないか。そこで少年と少女風情が世界を犠牲にしたところで、世界は変わらず変わり続けていくのではないだろうか」
実際、この場合における少女に対する世界は比較的スケールの小さい東京に絞られている点や、被害者の代表である人物達が雨の降る東京に逞しく順応しているシーンを描写している点など、細かい部分で主人公の選択の責任が軽くなるようバランスをとっており、制作者の苦心が伺えます。

個人的には
・終盤の構図への意識が強いのか、若干導入部が退屈である
・主人公のまわりにまともな大人と呼べる人があまりにも少ない
・主人公の異性への意識のしかたや目線の描きかたが、非現実的なほど綺麗なアニメーションのせいで殊更に生々しく感じられる
等の部分が気にはなりましたが、監督の描きたいことを残してあとはすっぱり放り投げているような思いきりの良さを感じたので不快には思いませんでした。

全体を通して、青春へのエネルギーを感じる爽やかな映画でした。