娯楽の極み

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーの娯楽の極みのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「ドラゴンクエスト your story」というタイトルであるにも関わらず、完全に「ドラゴンクエスト his story」になっているわけで。

貴方が描くストーリーですからね、とタイトルで誘導された挙句、結局はあるユーザーによるプレイ動画を第三者視点で観ていたに過ぎない作品。

ドラクエ5を原作としていながらも、メインタイトルにはナンバリングの明記がないことがそもそも伏線になっていたらしい。
いや、伏線というかこちら側の過度な期待というべきか。

原作ファンとして「おい!」とツッコミたかったのは、せっかくVRシステムでドラクエ5がプレイ出来るようになっている大変恵まれた環境に生きているにも関わらず、少年時代の超重大なイベントを事もあろうにスキップする設定にしているというライトユーザーっぷり。そんな環境あったらむしろもっと時間かけるよ!俺にプレイさせてくれよ!

尺の問題もあるので前半の重大なイベントを割と暴力的にことごとく端折られ、ようやく世界観についていける段階になったと思ったらメタ展開で度肝を抜かれる、そんな映画。ラスト20分までは佳作だった。

と言いつつも、ちゃっかり楽しんだ部分もあり。ドラクエ5が映像化されるだけでもファンとしては有り難いところだし、ドラクエ5を象徴するモンスターが随所に登場、ムスコスの活躍も頼もしかった。色々なシリーズのBGMを聴けたし、ゲレゲレ欲しい。

賛否が分かれてるのは、「せっかく没頭していたのに突然訳の分からないメタ展開で現実に引き戻されたこと」に尽きる。興醒めという表現が一番近い。

監督が描きたかったのは、個々のゲームの思い出は素晴らしいし色褪せないよねってことだと勝手に解釈していて、そこは確かに共感する部分。でもそれって、わざわざ言わなくてもよかったよねって言う。どっちかっつーとゲーマーは作品を作品として楽しみたいわけで、自分たちを肯定してほしいわけではないんだね。

FFがどんどんメディアミックスして映像化されていく中、ようやくドラクエに来たと思ったらこれっていうのがオールドファンは残念だろうな。俺もオールドファンだけど。

でも、勝手にドラクエ「5」の映像化だ!と思い込んでいたことによる低評価も多いと感じる。怒る気持ちは充分わかるけど、最近少し思い直せてきた。