すずき

燃えよスーリヤ!!のすずきのレビュー・感想・評価

燃えよスーリヤ!!(2018年製作の映画)
3.2
母親は悪党に殺され、自身も痛みを感じない障害を負った少年スーリヤ。
彼のヒーローは、ビデオで見た片足の空手家とブルース・リー。
スーリヤはある日、唯一彼に優しくしてくれた少女スプリを救おうと、彼女に暴力を振るう父親に大怪我を負わせてしまう。
当然その行動は問題となり、町内にいられなくなったスーリヤ達は遠くへと引っ越してしまう。
そして十数年、成人したスーリヤは、我流で格闘技を身につけ街に出て、スプリと再会する。
なんと憧れの空手家の弟子となっていた彼女。
だが、その空手道場は悪党たちの嫌がらせで今や落ちぶれてて…

痛みを感じない「キックアス」のような主人公スーリヤが、道場を脅かす悪を討つ、「ドラゴン怒りの鉄拳」のような筋書き。
ブルース・リーをオマージュしたバカっぽいインドアクション映画かと思ったけど、意外にも演出はオシャレ。

ただドラマ部分がくどい気がした。
序盤の少年編の、幼い2人の幼い故の純粋な愛情と別れがグッと来たけど、中盤の再会あたりからテンポは停滞する。
主人公の家庭事情、空手家師匠の家庭事情、ヒロインの家庭事情のドラマを全部描写するのはやり過ぎでは。
恋愛あり悲劇ありギャグあり活劇ありの、トッピング全部のせみたいな映画がマサラ・ムービーの特徴だけど、この映画は痛快アクションに徹して90分に纏めた方が良かったかも。

あと主人公が、喉乾いてもそれに気付かないから、脱水症で度々倒れかける(だから普段は常に水の入ったリュックを常備してる)、という設定が主人公をピンチにさせる以外必要のない設定なのも残念。
そもそも脱水症になるの早くね?数時間水飲まないだけでフラフラとかF1マシン並みの燃費の悪さだな!

ラストも、ヒロインが〇〇しちゃって、その責任を〇〇が負ったりする所とか何だかなぁ、なオチ。
とってつけた様な乱暴なハッピーエンドな上、エピローグで一言語られるだけなので納得いかない。
普通に主人公がラスボス倒して大団円!ではいけなかったのか。

ちっとも褒めてないけど、アクションは中々。
欲を言えば、インド特有のスローモーションを多用し過ぎなのが気になる。
香港映画ばりの、引きで長回しアクションがもっと見たい!

なんか全体的に、インド映画の悪い部分が出ちゃった感する映画でした。
ま、なんだかんだ言って、それなりには楽しめたんだけどね。