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ミッドサマーのsymのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

評判だけ何となく知ってて、見たいけど見たくないな〜みたいな感じで、先延ばしにしてたのを、ようやく見ました。

※以下ネタバレを含む感想、長めです。







思ってたよりもストーリーは単純というか、分かりやすかったです。
ホラーではないような?
知的好奇心の高いタイプの人は、こういう話好きかも。私も「うわ!」とか言いながらも普通に「へぇ〜!」って見ちゃってました(笑)

ホルガ村の設定が、よく作り込まれてて、こういう風習のコミュニティが、もしかして世界のどこかにはあるのでは…?と思わせるリアリティがあり、面白かったです。
壁面や布地に描かれている独特の絵や、衣服、料理が世界観に合っていて、とても綺麗でした。
あと音楽。牧歌的なのも不協和音も、何とも不穏な空気を醸し出してて、いい感じでしたね。

内容としては、人間関係と自己の精神の在り方の話ですよね(違う?)

冒頭から、もう不穏。ダニー役のフローレンスの、精神的に不安定な人の演技が、うますぎる。ああいう泣き方するよね。
でも姉妹そろって双極性障害やら不安症やら患ってて、妹が親を道連れにしてるところを見ると、多分ですけど家庭環境もよろしくなかったんだろうなーと思います。

でも一生懸命ダニーは妹に寄り添おうとしてましたよね。クリスチャンは、お前が甘やかすから…みたいなこと言ってましたけど、ちゃんとダニーが理解しようとしてくれてることを感じていたから、妹は姉のことは巻き込まなかったんじゃないのかな。
まあ1人残された方は壮絶な心境でしょうけど…。

他人同士は基本的に分かり合えないっていうのが、人間社会の前提だと思うんですよ。家族だろうが友人だろうが、同じ人間は一人としていないので、好きな人どうしでも、完全に分かり合うのは無理。
だけど人間関係で大事なのは、その上で、どこまで歩み寄るか。ちゃんと相手のために出来ることをしようと努力できるか、その違いだと思うんですよ。

思えば最初からクリスチャンは、ダニーを突き放しはしないものの、理解しようと努力してくれてはいなかったですよね。妹のことも不安がるダニーに適当に返事してたし、結果ああいうことになって自分が後味悪いから、寄り添うポーズをしてただけなんですよ。2人の関係は、そもそも破綻してたんですよね。ホルガ村で過ごすにつれて、ダニーもそれに気付いたんじゃないでしょうか。だから最後ああいう選択をしたんだろうなって、私は納得しました。精神的な自立だったんじゃないかなって。

ホルガ村のコミュニティの在り方は異様だとは思いますが、本当に他人同士で同調しようとしたからこそ、あのような形になったんでしょうね。誰かが悲しめば一緒に悲しむし、村のために命を差し出すことにも疑問を抱かない。(何人か死にたくない気持ちが全くないようには見えない人がいたけど)薬物の力もあるでしょうけど、自他の境界が曖昧というか、突き詰めていくとああいう集団になるんだな…と妙に感心してしまいました。

ダニーのように、自分のことを蔑ろにして、他人のことを考えすぎるのも危うい。ホルガ村の人々のように、他人のことを自分のことのように考えすぎたり同調しすぎるのも不健全だし。クリスチャンのように、気にするポーズだけとって大事な人のことをテキトーに扱うのも不誠実。精神的な自立と、他人とのバランスって大事だよな〜って話なのかなと思いました(斜め上すぎますか?)。

最後のダニーの笑顔は、他人との関わりの中で自分の在り方が何となく分かったからなのかなって。
ある意味これはハッピーエンドでは?
多分この後、最終的にメイクイーンは身を捧げるんじゃないかな〜と思いますが、ダニーは後悔しないんじゃないかなと思いました。
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