A24の作品という事でめちゃくちゃ期待していました。この前観たA24作品は「アンダーザシルバーレイク」で私はこの作品が生み出す性格というか、世界観というかカルト的要素というのが大好きでした。今作の「ミッドサマー」も同じ系列にあると思います。あまり動かないカメラや、行間を重視した台詞回し、あと何と言っても音楽の使い方が素晴らしいですよね。
アリアスター監督の「へレディテリー継承」は個人的にはあまり好きではないのですが、大衆的構成は成されているとも思えました。一方「ミッドサマー」は閉塞された土地、風習、信仰、白夜、私の好きなテーマでありますが、やはりカルトの部類入ると思います。故に全く毛並みの異なる2作品で社会現象まで起こしたアリアスターの才能を不動の物とした作品である事は確かです。
内容はですね…正直最初は退屈です。途中で辞めようとかと思うくらい退屈でしたが、開始1時間くらいから事のヤバさが現実的になり、そこからは少々胸くそな描写に悩まされていきます。ラスト付近ではとても怪しい啓発ビデオというか、洗脳ビデオなんかを観ているような気分です。
で、やっぱり怖いのは村人の誰もがこの文化に微塵も恐怖していないところなんですよ。普通なら誰か一人くらいは「この習わしはやっぱり怖い！」って信者がいて、主人公が一緒に逃げようってなるパターンが多いのですが、本作はそんな人誰もいなくて皆人間味がないのです。
まあなんだかんだでさすがA24だなって思える作品でした。A24は他のスタジオに比べると若いスタッフが多く在籍しているようで、若年層が作る「ウィッカーマン」として捉える事とします。
