回想シーンでご飯3杯いける

ホームステイ ボクと僕の100日間の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.9
タイ映画史上No.1のヒットを記録し、日本でもワイドショーで取り上げられるほど話題になった「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」のスタッフが贈る新作は、児童文学の世界で絶大な人気を誇る森絵都の「カラフル」が原作。何よりも、タイの映像作家が森絵都の小説を選んだ事に驚いたが、同じアジア圏という事で、驚くほどしっくりくる仕上がりだ。

死んだはずの“ボク”の魂が、自殺した高校生ミンの肉体に"ホームステイ"するSF風味の寓話なのだが、冒頭から「インセプション」辺りのクリストファー・ノーラン作品を思わせる異次元映像が登場して驚く。考えてみれば「バッド・ジーニアス」でもスーパースロー映像等を使ったドラマティックな映像表現を多用していた事を思い出す。

2010年にクレしん映画等で知られる原恵一監督によってアニメ化された「カラフル」が中学生を主人公に据えていたのに対して、このタイ版は高校生が主人公。恋愛要素も入ってきて、児童文学然とした日本版とは趣きが異なる。そこから導き出されるのは「バッド・ジーニアス」同様、タイの高校生が抱く悩みや社会問題だ(主演はバッド・ジーニアスにも出ていた少年)。

原作もアニメも経験済みの僕は、物語の結末を知っているので、そこまでの描写がややくどく感じてしまったが、知らない人にとってはかなり楽しめる作品ではないかと思う。