肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

HUMAN LOST 人間失格の肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

HUMAN LOST 人間失格(2019年製作の映画)
2.4
人間120歳、なにがめでたい
冲方丁流、恥の多き『AKIRA』 + 『デビルマン』

ハハハ、人間に失格したのは俺か?はたまたオマエたちかーーー?(←そんな話では決してない)
『全人間失格』この強烈なキャッチコピーに惹かれる"中二性"をむしろ骨の髄まで味わいたかったです…
さすがは冲方丁先生だけあり、彼の小説家の売れる道筋となったライトノベル、「SF」の世界観の本領発揮で、こうもあの太宰治『人間失格』を弄くりまわしてSF一色に染め上げるのは、本当に、大したもんです。
世界観は完全に近未来SFとなっているのに時代はあくまで「昭和」w(長寿の意を汲む) ナノマシンプロセスとネットワークシステムにより"無病長寿"が約束され、平均寿命120歳の大台に回れば『合格』とされる日本社会。
そこで生に生きがいを感じず死にたがり生活を送っていた草藏に翻弄される出逢いが始まるー

太宰『人間失格』の登場人物はほとんどそのまま役名と用い、ミニマムで私小説的純文学の世界観を、マキシマムなSFな世界へと『拡大解釈』してみせた、この映画。俺もオマエらもみーんな「人間失格」、みんなで「人間失格」なら怖くない!はてそれはどうかな?という疑問の投げかけ。
その草藏の内省的な心情の機微をほぼ霧散させたアクションエンターテイメントにしてしまったのは、太宰『人間失格』のファンからすればデメリットしか感じないのではないでしょうか?
太宰自身を投影しただろう草藏は確かにクズ以外の何者でもなくても、そこには感情移入に足るだけの"普遍性のクズ"が顕現していたと思うんですよね。しかし、こちらの草藏はSFの設定に埋もれる形で"ただのクズ"に成り下がってしまった…よって、この映画自体、登場人物に感情移入先が「消失」してしまっているんです。
太宰『人間(性)失踪』映画です。

映像も演出、監督の面で反体制への暴走(『AKIRA』)、希望観測の未来の為に動いたヒロインの消失による暴走(『デビルマン』)など、共通点のある事項で名作アニメのオマージュを引っ張り出した所も面白味はありますが、"新鮮味"はフルCGなのに一切ないんですよね…そればかりか、制作アニメスタジオの過去作の悪夢を思い出しそうでwアクション面で見入るべきところが少なかったっていうのが正直な感想です…

実はこれ、"失敗でいいのだ、人間だもの"とは言わずとも、今年の公開の一番の大ヒットアニメ映画とメッセージ性は精通しているんですよねw