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TENET テネットのしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.9
むっず!難しいとは聞いてたけど、むっず!!!
一回見て、訳が分からないので考察サイトを見る前に悔しくてもう一回吹き替え版で見たけどやっぱりむっず!インセプションの100倍難しい。

タイムリープものは伏線を確認するために2回見る事が多いが、これは一旦最後まで見ないと全然理解できないから最低2回見ないと無理な映画だと思う。
一回であらすじを追えた人がすごいし、これ映画館で見てたら「今どうなった?今の説明もう一回」が出来ないのでめちゃくちゃストレス溜まりそう。迫力的に大画面向きなのに、ストーリー的には自宅で巻き戻しや一旦停止できないとしんどいと思う。

以下ネタバレあります。


結局2回見て、まだ考察サイトは全然見てないのだけど、結論「考えるな、感じろ」だった。
だって全然意味分からんのだもの。特に逆行の仕組みが。
元々タイムリープ物が突き詰めたらおかしくなっていく性質のものだけど、今作は「逆行」という素材を使ってるだけに、映像的には非常に面白くなったけど理解が数倍難しくなっている。

着いていけたのは序盤の「弾を落とす行為が逆行する」まで。それ以降は逆行するものが同じ時間軸上にあるという状態が全然しっくりこない。

というか普通の基本ルールも良く分からない。
例えば「逆光」と「タイムリープ」は別物なのかどうか。
見た感じ回転扉を抜けると逆行出来るようだ。でもタイムリープはどうなるのだろうか。見た感じ10日間逆行したら順行世界の10日前に戻れるという雰囲気なのだが、ニールは未来から来た人なのに、なぜ彼は普通に会話して普通に呼吸しているのだろう。タイムリープするためのマシンが別にあって、さらに逆行という行為があって、それは一時的に自分を分裂させ「逆行状態にする」という事なのか?分裂中に片方が死んだらどうなってしまうのか。

ニールは最後の作戦で最初は逆行側のブルーチームだったはずなのに順行側に来てるのは回転扉を通ったという事なのか(もう一回見なくては…)。じゃあ最初のブルーになった時の相方の順行ニールはどこにいる?確か二人揃って回転扉を通らないとダメとか言って無かったっけ。
理系の知識がある人には分かるのかな?
そういう所はこれから考察サイトをじっくり読むことにする。

そういう所の理解はすっぱり諦めて、ふんわりと「要するに過去に戻ったんだな」と認識することにして(私の得意技)見ると、時間をまたにかけた壮大な挟撃作戦とか、未来からの侵略とその動機(上の世代が地球をめちゃくちゃにしちゃったから)とか、タイムリープの定番「あの時実はこうなってた」がふんだんに盛り込まれて面白かった。

撮影もすごく大変だったんだろうと思わせる。
人が逆向きに動くのはどうしても不自然さがついて回るが、それでも絵的にとても面白いし、単純に船の船首が波を割っていくところを逆再生するだけでも見ていて飽きない。

また全部終わってみたらニールの隠された友情というか忠誠心にときめく。陰ながらずっと守ってくれてたなんて…。少女漫画か。これ、全女子が好きなやつじゃない?
片方から見たら友情の始まりなのに、片方から見たら友情の終わりってエモすぎる。

ただ、後で逆行側で使うためのプロットとしか見えないような作戦(最初のオスロ空港の絵の奪還)とか、本人たちも状況が分からないままに動いてる事もあって、今何のためにこの作戦を行ってるのか、目的が何かが理解しづらい部分があるように思う。
単に逆行などのロジックが理解できないだけでなく、ストーリー自体が良く分からない。多分全体的に見せ場が多すぎたので、もうちょとメリハリつけてくれたらよかったのかも。

その他
・最初にテネット作戦を告げた上司。ジェスチャーと「テネット」という言葉だけって、難易度高すぎない?もうちょっと明確な指示ください
・キャットが最初に登場した時、そのスタイルの良さと美しさにびっくり。屈強なボディガードよりさらに背が高い上にあのピンヒール。迫力。
・でもキャットがなんか助けてもらって当然みたいな顔で終始自分と子供の事(&復讐心)だけで動いてる雰囲気で、ちょっとイライラする。気の毒な状況ではあるとは思うけど。
・しかも最後に作戦を守らず殺すっていうのがなんか感情的で嫌だ。そこは作戦成功を確認してから殺して欲しかった。または殺さずに生きたまま引きずっていくとか。あれで失敗してたらセイタ―の思い通りやん
・ニールの飄々としてるけど有能な雰囲気大好き
・カメオ出演のマイケル・ケインはいつ見てもあのまんまなのだが、時が停まってるのではないだろうか。
・さらっとブルックスブラザーズ(アメリカ)をディスるところとか、イギリス人の嫌味でスノッブな感じがとても良い。ついでにギャルソンたちの嫌味もいい
・最終作戦のリーダーのアイブスが、出番は短いのとても渋い。生きて帰れないミッションは部下に任せず自分でやるとか、最後の顛末とか、何なら主人公よりカッコいい。
・主人公の名前なんだったっけと思ってwikipediaで確認したら名前無かったのね。しかも英語では「PROTAGONIST(主人公)」って、くぅ~オシャレ!

--------考察サイトのお世話になった後-------
・はっはーん!なるほどね!回転扉はその都度入ってのね。相方は未来にいるわけね。
・私は何となくニールが死ぬから「友情の終わり」とふんわり思ってたけど、この言葉はどういう意味だったのだろう。この世界線ではもう事件は解決して主人公はTENET組織を作る必要がないから、主人公は未来でもニールに会わない→「友情の終わり」という事なのか?結局主人公はTENETを作らなければならないのか。そうしたら今度は主人公がニールを助けるために逆行したりして。
・まあタイムリープ物の宿命として、並行世界とかパラレルとかマルチバースとか、その辺は考えちゃダメってことなんだろうけど。
・例えば最後の作戦一つとっても膨大な人数が逆行で参加してるわけで、その人達一人一人に並行世界が出来てると考えたら、なんかこう、世界ってなんだろね。
・実はこの世界は私の誕生とともに発生した「私の世界」であって、私が死んだら実はこの世界も終わるんじゃないの?という謎の結論に達しました。
・私は(この)世界の神だった!
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