ksr1702

TENET テネットのksr1702のネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

難しい映画だけど、細かく考えなければ逆にシンプルな楽しみ方ができると思う
いわゆるところのタイムトラベルもの作品になるが、他の時間を扱った映画と違うところは、過去に戻るために時間を逆行して辿っていかなきゃいけないってところ
他のタイムトラベルものは言わばチャプター選択みたいに過去の指定した時間に戻ることができるが、この作品では巻き戻ししかできない。
この考え方が一番好き
「チャプター選択的なタイムトラベルは、三次元空間に置き換えるとワープに相当する。ワープなんて離れ業は3次元空間でもできないんだから、時間をワープできるはずがないよね?未来からちょっとずつ辿っていくのが正しいタイムトラベルなんじゃないの?」ってのがクリストファーノーランの言いたいことなのかもしれん。説得力があって非常に良い
となると当然、巻き戻された世界で、自分だけが正しい時間の進み方をするのでいろんな怪奇現象が起こってしまう
その時間を逆行することによって起こる不思議な映像だとか戦略だとかを描写するのがこの映画のキモで、人物関係だとか因果関係に関しては他のタイムトラベルものと同じような扱いでいいはず。いろいろ整理するとガッツリタイムパラドクスが起こってるから、深く考えてもたぶん無駄。
だから細かい部分まで考える必要はたぶんない。それを言い出すと時間が逆行してる世界でまわりの景色を観測できるのか?光も逆行してるんだから、眼が普通の見え方にはならんよね?みたいな話になってくるし・・・
巻き戻し映像どうしがぶつかり合ってめちゃくちゃになるところをすげーって思いながら見ればいい
とにかくこの映画のタイムトラベルに関する考え方がすごく好き
例えば、あなたは会社に車で通勤していたとする
会社に着いたところで、今日の会議に使う資料を家に忘れていたことに気づく。
偶然にも会社に回転ドアがあったので、時間を逆行して忘れ物をカバンに入れてしまおうと考える。
じゃあ逆行した世界で自宅に戻るにはどうしたらいいだろうか?
おそらく最適解は、「今朝自分が乗ってきた車に乗る」になる。(見つからないようにトランクにでも隠れよう)。そうすれば車の時間が戻って、出発地点である自宅に戻っていけるわけだ
そうなると自分が今朝車で通勤している間、トランクに時間を逆行している自分が乗っていたことになる。

私はこのへんで頭がおかしくなってきて爆発する
クリストファーノーランは爆発せず、きちんと整理できたのでこの映画を完成させられた
時間についての見識の深さが遺憾なく発揮されていて、クリストファーノーランの時間オタクぶりがわかって面白かった
きっと年中こんなことばっか考えてるんだろうな

あとTENETっていうタイトルは、上から読んでも下から読んでもTENET(主義)になる。未来から逆行してくる奴らと現在の奴らの主義がぶつかりあうって意味と、
片方は10分(TEN)からカウントダウン、もう片方はカウントアップでTENETっていう洒落になっててうまいと思った
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