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デッド・ドント・ダイのHKのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
4.0
約3カ月ぶりの劇場新作鑑賞はゾンビ映画。
かなり不評なのでダメ元で臨みましたが、これはかなり楽しめました。

ジム・ジャームッシュがゾンビ映画を撮ったらこうなりました、というか、
「オレだってゾンビ映画を撮りたかったんだ」という気持ちが伝わってきて微笑ましいというか、好き放題して豪華キャスト、しかも万人受けはしないというティム・バートンの『マーズ・アタック!』のような位置付けの作品にも思えました。

いや、やっぱりゾンビはゆっくりギクシャクが一番ですね。
ジョージ・A・ロメロへの敬意が感じられてイイ感じです。
物語の進行もジックリゆっくり。
今の世のなか急ぎすぎと言わんばかりです。
このジワジワ感は昨今のやたら運動能力の高いゾンビじゃ出せません。
動きが遅いと油断してたら、忘れたころに痛い目みるのがゾンビの醍醐味(?)。
映画の途中で居眠りなんかしたらゾンビに食われますよ!

最近はなんだかわからないウィルスで狂暴化した人間もひっくるめてゾンビ扱いされてますが、墓場から蘇った腐りかけの死体が全力疾走しちゃいけません。
そんなことしちゃあ疾走途中で分解しちゃいます。
走るゾンビ(=ランニング・デッド)もダメですが、狂暴すぎるゾンビもダメ。
虚ろな目をしてヨタヨタしているゾンビにこそ趣があります。

ゾンビの血が黒い煙っぽいのもいいですね。古い死体から鮮血が出ちゃあおかしいですから。
本作はゾンビファッションのバリエーションも豊富だし、子供のゾンビが多いのも珍しくバランス的にグッド。ゾンビがぶつぶつ呟く言葉ひとつひとつも納得でジャームッシュのこだわりが嬉しくなります。

各キャラの名前も妙なのが多いですね。
クリフ・ロバートソン(B・マーレイ)、 フランク・ミラー(S・ブシェミ)、ハンク・トンプソン(D・グローバー)なんて実名の人いるし・・・なにか法則があるんでしょうか。

しかしダントツで目立ったキャラはやはり“ゼルダ・ウィンストン”ことティルダ・スウィントン(紛らわしい)。日本刀の腕は『ウォーキング・デッド』のミショーンより上かも。することなすこと不思議ちゃんで最後は “え~~~?”
あとはケイレブ・ランドリー・ジョ-ンズ(『スリー・ビルボード』のオレンジ・ジュースで好感度UP)が演じた“ビルボ・バギンズ”ことボビー・ウィギンズも好きなキャラでした。

他にもいろいろと楽しい趣向満載の本作ですが、観て腹を立てる人も多いようです。
もちろん、走るゾンビとスピーディな展開が好きな人にはオススメしません。
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