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デッド・ドント・ダイのyumeayuのレビュー・感想・評価

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)
3.5
"スタージル・シンプソン"

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』で人類のことをゾンビと形容していたことはありましたが、まさかの本当にゾンビ映画を撮るとは!
これはもう見るしかないでしょ!
…と思っていたら公開直前で緊急事態宣言。
ずっと我慢していましたが先日ようやく鑑賞できました!

しかし、観客わずか5人…。
座席予約時は自分しかいなかったのでまさかの貸切?と思っていたんですけどね。
こんな時期にいくら新作とはいえ、シネコンにジム・ジャームッシュ作品を見にいく物好きなんていないのかな…?

さてさて、いったいどんなゾンビ映画になるかと楽しみにしていたのですが、蓋を開けてみればやっぱりジム・ジャームッシュ作品という感じ。面白いか面白くないかで言うと正直面白くない(笑)。でも好き。

例えば『ゾンビランド』や『ショーン・オブ・ザ・デッド』のようなゾンビコメディを期待していると肩透かしを食らうでしょう。今作はジョージ・A・ロメロをリスペクトした社会風刺としてのゾンビ映画で、そもそもエンタメ映画ではないですし。
加えて、ジム・ジャームッシュ監督の代名詞ともいえる"オフビート"なノリを楽しめるかどうかだと思います。
なので彼の作品を初めて見るような人にはオススメできません。初めて見るならもっといい作品はたくさんありますし、そもそもこの作品自体が過去のジム・ジャームッシュ作品の延長にあるような世界観で、キャスティングも含めて同窓会的なノリなので、そういう意味でも過去作を見てからのほうが楽しめます。

ジム・ジャームッシュ作品の醍醐味といえば、登場人物たちの会話の空気感や間を楽しむことですが、世界の終わりにも関わらずどこかのんびりとした今作の雰囲気は緊張感なさすぎでシュールでしたね。
ダイナーのシーンなんかまさにそれ。

また、今作にはジム・ジャームッシュ作品の常連が多数出演していますが、中でも断トツでアダム・ドライバーが良かった!
『スター・ウォーズ』ネタも笑えたし、何よりカイロ・レン以上にダークサイドに堕ちてる終盤の暴れっぷりが凄まじい。
後から知ったんですが、彼の愛車であるスマートのエンジン音がTIEファイターの音だったってホント??

全体的にジム・ジャームッシュを慕って集まったキャストたちの内輪ネタ、もしくは盛大な悪ふざけ感が強い作品なので、かなりクセが強い作品です。
なので最初に言ったとおり、客観的に誰が見ても面白い映画かといわれると微妙。このノリを別の監督がやったら袋叩きかもしれない。
個人的には楽しめたんですが、作品の魅力を伝えるのが難しい。"ジム・ジャームッシュ作品だから"で済ますのは良くないけど、そうとしか言いようがないんだよなぁ。
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