しちれゆ

17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン/キオスクのしちれゆのレビュー・感想・評価

3.5
時はナチズムが軍靴の音を響かせる1937年。恋するアネシュカが踊り子として働く酒場ではヒトラーを皮肉る出し物をやっていたのがやがてユダヤ人を揶揄する内容へと変わっていく。タバコ屋の主人オットーはゲシュタポに連れ去られてやがて亡くなり、同じくユダヤ人のフロイト教授もロンドンへと脱出する。アネシュカも生きていくためにナチス軍人の愛人となる。フランツを温かく見守ってくれた大人たちが時代の犠牲になる中でフランツはナチスの旗の代わりにオットーのズボンを空高く掲げるのだが…。
それは17歳のフランツにとって大義ではなくあくまで私情に過ぎなかったように思う。田舎の村から家計を助けるためにウィーンにやってきてたまたま良くしてくれたのがユダヤ人だったけれど、隣の肉屋に住み込んでいたらフランツはユダヤ人を迫害する側に回っていただろう。17歳ってそんなもの。周りの色に染まり洗脳されていく。前半のフランツの「やりたい病」こそ若者の普遍でしょう。
それにしてもフランツ(ジーモン・モルツェ)、17歳にしてはかなりの老け顔なのがとても気になった。
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