ゼロ

パラサイト 半地下の家族のゼロのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.8
計画というのは無計画だ。計画があるから予定外のことが起こる。計画しなければ予定外のこともない。

第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールの受賞をした本作。韓国の貧富の格差をエンタメ作品として描く問題作。

導入部としては、父ギテク、母チュンスク、息子ギウ、娘ギジョンのキム家の4人は、狭く薄汚れた半地下のアパートに住んでいた。全員が失業している中、ギウの友人であるミニョクから家庭教師の仕事を紹介される。就業先のパク家に、次々とパラサイトしていくキム家。貧困から脱出したと思っていたある日、パク家にある重要な秘密を知ることになる…。

上映時間の132分の前半と後半で雰囲気が変わります。前半は貧富の格差を明確に描いていますが、後半はパク家の秘密を理解したキム家の喜劇(もしくは悲劇)を観ることになります。

正直、想定しなかった展開が繰り広げられるので面白かったです。表題の「パラサイト」の意味も、副題の「半地下の家族」の理由も分かります。起承転結でいう転が凄まじく、最後まで物語を観たくなることは間違いありません。

作品としても、韓国映画ではなく、ハリウッドでも通用するような音楽や演出がされており、本気で本作品を作っているのが伝わってきました。

ただ起承転結の結だけが、詰めが甘かったのが残念でした。作品の本質が、パク家だけで完結しているのもあり、パク家から離れたキム家の展開が夢物語のように感じられました。取って付けたような終わり方をしたのが残念でした。

総合的に、ネタバレなしに本作品を語るのは難しいです。どんな映画か?と訊かれれば、貧富の格差を描いたジェットコースターみたいな作品と答えることでしょう。面白いです。気になる方は、一度、鑑賞して欲しい作品でした。
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