このレビューはネタバレを含みます
コミカルにテンポよく進行する序盤、「めちゃオモロイやん♪」と暢気に見ていたが・・・
「パラサイト」というタイトルどおり、金持ちの生活にコッソリ寄生する人々の話だが、よく考えてみると寄生しているはずの彼らはなかなかに有能なのだ。家事も家宰の才能も怪しい夫人に鷹揚な社長に無垢な子供達。一方パラサイト家族は仕事もデキるし抜け目ない。人一倍働いている彼らの上に胡座をかいてお守りをさせている金持ちたちもまた他者の労働力に寄生して生きていると言えるのではないか。
さて。お父ちゃんを駆り立てたものは何だったろう。
お父ちゃんは苦労してるわりに共感力のある人だったと思う。
それは相手の気持ちになってみること。
どこかで人を信じていた。
それだけに極限の中で、便所こおろぎと人間の関係のような、ヒトから人に非ずと線引きされるような場面の中で、絶望したのかもしれない。
または過剰な共感力が最悪のタイミングに働いて、バーベキューとともに串刺しになった男に自己投影してしまったのかもしれない。
終始柔和な力のない表情だった彼の顔が一変する、物語中最大のクライマックスシーンだった。
夢のような一戸建て。そんな場所に足を踏み入れなければ、こんな地獄に巡り合わせなかったかもしれない。どこにも行けないままでも、家族で仲良く暮らせていただろう。
若者が夢見る一戸建て。凄まじい格差の中で見るそれは、地獄の沼に足をとられて見る悪夢だった。
しかしキム社長はイケボやった…
