階段、坂道、雨。臭ってくる気がするほどの強烈な体験。脚本が秀逸で、演技陣も素敵で、伏線と回収も秀逸。ラスト付近で、あの伏線が回収されていないと思っていたら、意外な形で見事に回収。予想以上に複層的で、心地良い展開。ラストは少しだけホッとさせてから、奈落の底に叩き落とされた気分。どんよりとした、まさに鬱屈した気持ちのままエンドロール。
小さな窓から見えるのは、歩いている人の足下と地面。その空間に住むのは四人の家族。職はなく、アルバイトでなんとか食いつないでいる日々。そこは半地下。彼らの明日は…
前半はスカッとするほどのコメディタッチの展開。雷雨を転換点として、予想を超える展開の連続に驚かされ、全ての伏線が納得いく形で回収され、そこで起きる出来事に心がえぐられる。それでいて、説明が必要とされない分かりやすい物語には脱帽。
文句なしの秀作。観ない選択肢はない。
