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パラサイト 半地下の家族のLongsleeperのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

卓越した余韻の残し方。
後味…!!としか言えない。
前半は『万引き家族』と『デスパレートな妻たち』を足して2で割って若干『アンダー・ユア・ベッド』した感じかなと思いながら観たけど、後半の緊張と絶望のゲージの高め方が凄い。
『万引き家族』でも『デスパレートな妻たち』でも上手いことスルーされていた視点を、油断してる間に突きつけられた感ある。
「貴方たちはいいよね。だって持ってるんだから。でも私たちにはないの」って言われてる感じ。
『万引き家族』は「貴方たちが持ってるものを私たちは持ってない。でも私たちは貴方たちが理解できないものを持ってる」だったのと好対照。
最後はそれもなくなっちゃうんですが。
デスパも家政婦とか運転手とか色々出てくるけどその辺全部スルー。
触れないのがマナーというのが確立されてそうだし、アメリカでやるのは難しそう。
持たざる存在と徹底的に向き合って、「救うべきは社会なんだ」って訴えるヨーロッパ(『わたしは、ダニエル・ブレイク』)ともなんか違う。
国自体が上り調子で豊かになれる希望があるわけでもなく、かと言って全部社会のせいにできるほど荒れた国でもなく、という絶妙な諦念がある韓国だから切り取れたんじゃないかと思うけど、本気でやればもっとしんどく描けるところを、あえてこの重さに留めたのは世界を意識したのかな。
前半の和気藹々とした家族と、後半の鬱屈の積み上がり方の対比が鮮やか。
人は比較するから不幸になる、というお手本のよう。
正直、展開の上では期待が膨らみすぎていたぶん驚きはまずまずだったけど、「この後どうなるのか」っていう先の想像のつかなさ(つかせなさ)はほぼ一貫してある。
そしてプレゼンの仕方、切り取り方は今まで見たことないやつだった。
「計画を立てると、人生は必ずその通りに行かなくなる」というセリフが、最後のギウの計画の行方を暗示しているよう。
父さんの別のセリフで、ユン運転手が再登場するのかなと予想してたので、そっちかーい!ってやられた。

奥様は本当に純粋でお優しい方だ 金持ちなのに
私に言わせれば“金持ちだから”だよ!
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