PaoloSorrentino

風の電話のPaoloSorrentinoのレビュー・感想・評価

風の電話(2020年製作の映画)
2.0
試写会にて
上映前トークショー

モトーラさんは初見だが、とても簡単な質問に、眠ってしまったかと心配になるほどの間をとられ、最初は緊張されているのかと思ったが、何度もどんなに簡単な質問をされても変わらない姿勢に、これまで多くの人のインタビューを観てきたが全くの初体験。
周りの大先輩方々が気を遣われているのに、そんなことは全く意識もせず、予想の数倍の尺を使って、発する言葉は、ほぼオウム返し。
上映前から心配になったが、諏訪監督や共演者の方々はスーと役に入って、嘘のない彼女の演技に多大なる信頼と可能性を感じられたよう。
周りの大人たちのあたたかい目があるから成立しているが、ただ、西田さんが痛い脚でお立ちになっているのに、変わらない尺の取り方は、観ている私が不快に。
周りを意識しないでいられるのは、女優として得難い才能かもしれないが、それが許されるのは、若さと恵まれた環境のおかげ。
表面的で自分の心と身体を通っていない言葉をスラスラと話す役者よりもはるかに好感が持てるが、もう少し周りの人たちの存在にも気を配ることも必要のような。
諏訪監督はお洒落
西島さんはチャーミング
三浦さんは大人の包容力
西田さんはサービス精神
モトーラさんは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

本編スタートもモトーラさんの時間の流れは変わらず。余りにも大きな喪失を経験し死んだように生かされてきた役柄に、生気の感じられない表情と筋肉のない歩き方のモトーラさんは見事なキャスティング。
彼女は、無の存在だから、彼女を撮り続けても画が持たない。だからほぼ出突っ張りだが、正面よりも背後からのショットが多数。
彼女に出会う人たちは、無の存在に対峙することで、より自分の内面が露になる。
ほとんど反応のない彼女は、自分を映す鏡となり、出会った者は自分と向き合うことに。
何も発しない彼女のつくりだす間が、対峙する者に内省を与える。


この映画は彼女の再生の物語であり、出会った人たちの内省の物語


彼女の時間の流れを許容するのが、被災していない私がすべきことだと気付いた
PaoloSorrentino

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