kuro

#ハンド全力のkuroのネタバレレビュー・内容・結末

#ハンド全力(2020年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

タイトルから「#ハンド全力」とハッシュタグが入っているようにInstagramのFav稼ぎが目的の高校生がハンドボールネタでバズって注目を浴びて炎上した後インターハイ予選に出るというお話なのだが,#熊本県,#震災,#復興仮設住宅,#廃部寸前,#教員が泥棒,#親友の裏切り ,#エースの怪我など情報量が多すぎて,詰め込みすぎていた。特に,震災でハンドボールを止めた主人公がハンドボールに向き合い直すというストーリーなのか,ひとはネットの関係ではなくリアルな関係で支えられているというストーリーなのか軸がはっきりしていない。
女子ハンドボール部が強豪設定で,登場する部員の体格も良くてそこは良かったのだが,ハンドボールの競技特性などについてはセリフで説明されるだけ。もともと2019年に熊本県で開催された女子ハンドボール世界選手権とのタイアップで製作されたのなら,女子ハンドボール部でストーリーつくればよかったのではないか。
主人公の兄(ヤンキーらしい車にのっている)が納棺師をやっていて,その彼女(志田美来)がキャバ嬢をやっていていろんな意味でゆるそうなキャラなのだが,その二人の関係が中盤で語られるところとか,復興仮設住宅に住んでいた老人の通夜で住民が集まってカラオケで「幸せなら手を叩こう」を合唱するところとか,本来なら主人公が震災から立ち直っていこうとする姿が描かれるはずが,脇が十分すぎるくらいに描いてしまって(じつはこの2点がこの映画の見所だったりする),主人公の立ち直りがかすんでしまったところがある。炎上の後で試合に応援に来てくれたのが兄や彼女といった日常の人間関係だったというところや,ネットではなくリアルな関係を強調したい意図があるのだろうけど,そのために単なるSNSからリアルへの誘導がなされたようにしか見えない。
とはいえ,青春スポーツものとしての映画としては成立している。青春スポーツものに加えようとした震災復興やSNSネタがもう少し消化できていたら3.5くらいあっただろう。
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