しゃぐな

罪の声のしゃぐなのレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
4.0
実際の事件をもとにした映画。
星野源くんが主演ということで鑑賞。

通称グリコ森永事件は1984年〜85年にかけて起きた未解決の企業脅迫事件。
幼い頃に起きたこの事件をなんとなく覚えている。リアルタイムの記憶なのか、昭和の終わりにはよくあった、事件検証モノのテレビ番組での記憶なのかは定かじゃないけど、どこかフィクションのような印象があって、劇場型と呼ばれるのも納得する。

ーネタバレ
星野源くん、もとい曽根俊哉は家の天袋からひとつの箱を見つける。開けてみると、古い手帳とカセットテープ。デッキを取り出してテープをかけてみると、幼い頃の自分の声…少し途切れて。この時間が、テープを最初に聞いたその時間が、鳥肌が立つほど恐ろしかった。デッキから流れる幼い自分の声、覚えのない文言、意味は分かるが理由の分からない内容…それも幼い声に不似合いな。
このテープの声が何で、、なんなのかはすぐに分かった、でも、では何故?その理由を知りたいけれど知りたくない恐怖。自分の声が、誰もが知る犯罪に使われている。今も公には正体不明、家族…妻とひとり娘のためにも一度は消し去ってしまおうともする、そして出来ずに続く苦悩。事件に声を使われた子どもは3人。手帳の元の持ち主をたどるうちに声の主残りの2人の存在に近づく、そして深まる不安。
この序盤の緊迫感だけでも押しつぶされそうになった。

事件の真相に迫りつつ、声の主を追う終盤ー他の2人のことは、、書かない。

これはフィクション。
だけど、実在の事件、存在するはずの声の主、彼らがその後どんな人生を歩んだのか。どうか、安寧にくらしていて欲しい。

事件当日わたしは7歳だった。声の彼らとそう変わらない。ただの7歳なら、曽根くんのように出来事自体を忘れていられる。思い出すこともなく、平穏に。でも通りすがりの人が録音したってこともないよね?と思うと、本当に切なく苦しい。
だいたい曽根ママもテープなんてはやく焼き捨てて仕舞えばよかったのに!活動家としての思い出かなんかだとでも思ってたのか?さすがにアタマ湧いてんな!と怒りがわいた。

祈らずにいられない。
声のひとたち、あなたたちが幸せでありますように。そして、この映画が届くのなら、どうか優しく届きますように。
しゃぐな

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