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シライサンの消費者のレビュー・感想・評価

シライサン(2020年製作の映画)
1.6
・ジャンル
都市伝説ホラー/サスペンス

・あらすじ
何かに怯える様子で遺言を残し、この世を去った青年、カズトの兄である春男
死因は心不全とされたが両目の破裂という最期に彼は違和感を抱き独自に調査をしていた
そして同様の死に方をした女性、香奈の友人である瑞紀の元を訪ねる
カズトと香奈はかつてバイト仲間だった
同じく奇妙な死に方に違和感を抱いていた瑞紀は春男の調査に加わり、もう1人のバイト仲間であった詠子の家へ
彼女の口から明かされたのは目が異様に大きな謎の女の存在を知り捕まると殺されるという怪談が発端という話だった
事の顛末を語り終えた詠子はその場で自殺を謀り、朦朧とした意識で女の名前を教えてしまう
「“シライサン”が来る」と…
自らも存在を知り呪いの対象となってしまった春男と瑞紀は怪談を聞いた人物達について探り、助かる為に事の根源を辿っていくが…

・感想
目を逸らすと殺される、という設定なので一瞬映すだけのジャンプスケアみたいな事にならず、異形の女性“シライサン”の顔をじっくり見せられるだろうと思い躊躇していたけど意を決して鑑賞

結論としてはシライサンの話を聞いたバイト仲間3人の中で最後に殺された詠子に詰め寄る場面でのビジュアル以外は大分マイルドで期待はずれ
何ならその後の立ち尽くす姿や見つめ合う画はシュールでしかなかった
標的となった人の眼球破裂もその物ズバリは映されず事後の姿だけでそれもあんまり怖くない

なので恐怖描写が微妙なのは勿論、構成 オチ、登場人物など全部ダメだったと思う
まずは構成について
親友と弟をそれぞれ失った瑞紀と春男だけでなく記者の間宮も加わっているにも関わらず、その過程で新事実が明かされる前にその内容が描写されてしまっているのでサスペンスとしてつまらない
次はオチ
存在を知っていると狙われる、という呪いから解放される術として記憶喪失というのは必ずしも無しではないものの切迫感のある攻防が描かれている訳ではないので夢オチ並みにあっさりとした物になっていて拍子抜けした
最後は登場人物
瑞紀は唯一の親友、香奈が死んだ場に居合わせていてその際に手を振り解いてしまった事の後悔や学生時代に痴漢から助けられた恩などを語っていた
これらが台詞で触れられるだけで彼女の孤独さを見せる場面も無かったので話として軽すぎる
春男は幼少期の母の死を巡って弟、カズトと微妙な関係になっていた
ここも深掘りされていなかったので背景の重さが足りない
何より命が掛かっているにも関わらず調査中の2人の様子に切迫感が欠けていてホラーの主人公としては0点と言って良い
記者、間宮にしても取材で旅館のある街に訪れていたのでシライサンの話を知った妻を1人きりにしてしまっている、という状況になっていたけど肝心の妻、冬美が人物としてまともに描写されず登場シーンも少ないからここも微妙

終盤に瑞紀がシライサンの話を拡散する事で3日に1度という出現パターンを活かしてリスクを削減するという解決策を発案していたけどそれも実行されず、間宮も死んだ娘の霊を利用されてあっさり死ぬというのも…
シライサンの正体も中途半端な所までしか明かされずじまいだし…

話自体が凡庸でよくある内容なんだからもう少し上手く工夫出来なかったのかなぁ…
キャストが無駄にメジャーなのもあって余計に作品のダメさが目立った駄作というのが総合的な感想
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